テレビ放送がない…Netflixの「WBC独占配信」は日本プロ野球のビジネスモデルを変えるかもしれない

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2024年の観客動員は、NPBが1試合平均で3万1000人、MLBが2万9000人とNPBのほうが客が入っているのに、なぜここまでの格差になったのか?

その最大の要因は「放映権」だ。日本では21世紀初頭にナイター中継の視聴率が10%を割り込むと地上波テレビが撤退した。NPB球団はそれ以降地域密着のビジネスモデルを確立したが、現在の放映権は、売り上げの10~20%にすぎない。

NPBとMLBの経済規模の格差の原因

MLBは、この時期メディア戦略を大きく転換した。前述のように、アメリカではMLBは劣勢で既存メディアのMLBへの評価は低い。今年になっても、スポーツ専門チャンネルのESPNが来期以降の契約を結ばないと発表した。

こうした状況を受けて、MLBはMLB.TVを設立。コンテンツの販売チャネルも、地上波、BS、CSではなく、ケーブルテレビ、さらにはネットメディアへと軸足を移している。そしてMLBはDAZNやアマゾンプライム、アップルTVなど世界的な巨大ネットメディアと契約し、大きな放映権収入を得た。今のNPBとMLBの経済規模の格差は「メディア戦略の違い」によるものなのだ。

NPBのメディア戦略の立ち遅れには、NPB独特の「体制」の問題もある。

大手ネットメディアのDAZNは2016年Jリーグと翌年からの10年間で約2100億円の放映権契約を締結、2023年には11年間で約2395億円の契約を結びなおした。Jリーグはこの巨大な契約を背景に、全60クラブに配分金を支給。また新型コロナ禍で経営難に陥ったクラブの救済をした。DAZN側はJリーグ全60クラブの試合中継をパッケージで販売し、多くの加入者を獲得した。

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