うつ病、アレルギー性鼻炎の症状が改善…中国の長寿の村で発見、研究者が注目する乳酸菌とは?――腸内細菌研究の最前線《医師が解説》

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さらに、アレルギーの免疫物質である血清総IgEとIL-13の有意な低下も確認された。一方で、生活の質を示すRQLQは4週時点で改善が見られたが、8週では有意差は認められなかった。

研究チームは「BBA6は通年性アレルギー性鼻炎における症状の緩和と免疫学的指標の改善に寄与し、臨床的に有用である可能性がある」と結論づけ、今後はより大規模かつ長期の試験による有効性と安全性の検証が課題であるとしている。

以上が、腸内細菌叢に関する臨床研究の最前線である。

こうした成果は、腸内環境の変化が単なる消化器症状の改善にとどまらず、心の健康やアレルギー性疾患の緩和といった幅広い領域に影響し得ることを示している。今後、より研究が進めば、腸内細菌を標的とした治療が日常診療の一部として定着するかもしれない。

科学的に正しい情報こそ必要

一方で、市場では「アレルギー性鼻炎に効果がある」とうたうヨーグルトや乳酸菌飲料が数多く販売され、プロバイオティクス市場は年々拡大している。いくつかの報告によると、日本における機能性ヨーグルトの売り上げはすでに数千億円規模に達しており 、アレルギー対策をうたう商品は成長分野の1つとされている。

しかし、その効果に関して、臨床的な根拠は十分に確立されていないものも散見される。科学的エビデンスの積み重ねと消費者への正確な情報提供が、今後の市場の健全な成長に不可欠だと筆者は考える。

上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長

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かみ まさひろ / Masahiro Kami

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

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