うつ病、アレルギー性鼻炎の症状が改善…中国の長寿の村で発見、研究者が注目する乳酸菌とは?――腸内細菌研究の最前線《医師が解説》

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この事実は研究者の考察にあったように、便秘による腸内細菌叢の乱れがトリプトファン代謝を阻害し、セロトニンやキヌレニンの濃度に影響することでうつ病が発症する可能性を示している。

こうした研究が出てくると、BBA6は「便秘を伴ううつ病」の新しい治療の選択肢となるかもしれない。ただ、この研究は小規模であり、さまざまなバイアスの影響が否定できない。もっと多くの被験者を対象にした追試が必要だ。

BBA6投与で鼻炎は改善するか?

もう1つの興味深い臨床研究は、アレルギー性鼻炎に関するものだ。

アレルギー性鼻炎の発症や重症化には、以前から腸内細菌叢が深く関与していると考えられてきた。

腸内細菌は体の免疫バランスを整える役割を持っており、そのなかでも短鎖脂肪酸を作る菌が減ると、免疫を抑える細胞(T細胞)が弱まり、アレルギー反応が強まりやすくなる。その結果、アレルギー反応に関わる物質IgEや好酸球が増え、鼻炎の症状が悪化すると考えられている。

これまでの研究では、赤ちゃんのときに抗菌薬を使うとアレルギーのリスクが高まることや、腸内細菌の種類が少ない子どもほどアレルギー性鼻炎になりやすいことが報告されている。

このほか、乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスを摂ることで、鼻の症状やIgEを抑えられたという報告もある。

アレルギー性鼻炎の研究も中国農業大学を中心とした研究チームが行ったもので、ヨーロッパアレルギー臨床免疫学会が発行する『臨床およびトランスレーショナル・アレルギー』誌のオンライン版に6月12日に掲載された。

この研究は、BBA6が成人の通年性アレルギー性鼻炎(1年中くしゃみや鼻水が出るタイプ)に有効か調べるために、70人の患者を8週間にわたって毎日BBA6を飲むグループと、プラセボを飲むグループに分けて比較した。

主要評価項目は鼻症状スコア(Total Nasal Symptom Score:TNSS)とし、副次評価として生活の質(RQLQ)、末梢血好酸球数、総IgE、アレルゲン特異的IgE、炎症性サイトカインIL-13を設定した。

試験の結果、BBA6群では8週後のTNSSが有意に改善していた(平均変化 −3.11 vs −1.29)。

これは、BBA6を飲んだ人は鼻づまりで眠れなかったのが眠れるようになり、鼻水は半分に減り、くしゃみもぐっと少なくなるなど、日常のつらさが大きく和らいだことを意味する。

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