無数の情報から「オリジナリティ」を見つけるには?――哲学者が教える「独自性」の作り方
シリーズが長く続いている小説やマンガを読んだり、好きな歌手の新しいアルバムをまるごとプレイリストで聴いてみたりすると、「また似たようなモチーフが出てきた」と感じることがしばしばあります。
ひとつながりになっているものを順番に体験していくことで、ひとりの作家やアーティストがそのキャリアの中で同じモチーフを何度も反復している、あるいは、同じように見えるけれども少しずつ変えている、そういう気づきを得ることができます。
連続したものを順番に辿っていくうちに「似ている点」と「似ているけれど違っている点」への感覚が敏感になり、イメージ同士が比較できるような仕方でまとまりを持って現れてくること。それが連続性の原則です。
時系列やナンバリングのような軸を頼りにして、その共通点や変化をたどっていく。客観的に見えているつながりを定点観測していくことで、そのつながりの中でどんな変化が生じていたり、どんな側面が深まっていったりしているのかを考えること。
そんなことを続けているうちに、ひとつひとつのモチーフがどれくらい近いのか、遠いのか、まとまっているのか、といったことが見えるようになってきます。
たとえばひとつの企業のビジネスの変遷をたどっていくと、表面的にはまったく異なる事業に節操なく手を出しているように見えながらも、実は社会に対して与える影響という観点では業態に囚われない一貫した理念が見えてくることがあります。
ところが、経営者が交代した途端にこの一貫性が失われてしまうということもあるかもしれません。
定点観測を続けることによってこうした変化への感覚が磨かれていく。こういった原則を意識しておくことで、私たちは自分たちの物の見方を上手に養っていくことができます。
思いもよらなかった共通点が見えてくる
連続性の原則では、客観的なつながりを定点観測することでその変化や深化に敏感になる、ということがポイントでした。
それに対して、共通性の原則は、たまたま同じタイミングに居合わせたまったく無関係なもの同士を結びつけてみたときに、思いもよらなかった共通点が見えてくることがある、という原則です。
たとえば、休日にカフェに行って積み残していた原稿の執筆をして、その後でジムに行って運動をした日があったとします。充実感を持って迎えた1日の終わりに、シャワーを浴びながらぼんやりと今日のことを思い返してみると、ちょっとした共通点に気づきました。
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