マーク・ザッカーバーグ、インドで思わぬ反発 壮大な「善意」は空振りに終わるのか

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ダラビの携帯電話ショップ「ヤフー・モバイルワラ」(写真:Asmita Parelkar/The New York Times)

近くにある携帯電話ショップ「ヤフー・モバイルワラ」(米ネット企業のヤフーから名前を拝借した)では、移動体通信大手各社のサービスを提供していた。だがフリーネットのSIMカードの束(青いパッケージには『無料でフェイスブックを使おう』と書かれている)はガラスケースの中でほこりをかぶっていた。

インドでは携帯電話サービスの多くはプリペイド式だ。SIMカードを買うか、1回につき1ドル程度をチャージして使う。ユーザーは主に、販売業者の商品説明を参考にSIMカードを選ぶ。

「新規顧客でフリーネットを希望して来る人はいない」とカーンは言う(同じ名字だが、冒頭のカーンとは関係ない)。

たとえリライアンスの通信ネットワークの質がよかったとしても、フリーネットではワッツアップ(フェイスブック傘下の人気のメッセージサービス)が使えないし、フェイスブックで写真を見たければ有料の接続プランを使わなければならない。「データを見るのに金がかかるのに、無料と称するのはおかしい」と彼は言う。

カード販売会社が客に勧めるもの

また、カード販売業者は自分たちが儲かるものを客に勧める傾向がある。カーンは先ごろ、他の通信会社から顧客1000人を獲得したことに対する特別報酬を受け取った。オートバイか4万5000ルピー(約8万3000円)のどちらか好きな方を選ぶことができたという。だがリライアンスにそうしたインセンティブはない。

ムンバイのスラムで30人近くに話を聞いた中には、フリーネットを試した人も何人かいた。だが、使い続けていたのはたった1人、23歳の男性だけだった。彼はプリペイドの残額がなくなると、フリーネットのフェイスブック・メッセンジャーを使って友人と連絡を取るという。

フェイスブックのインターネット・ドット・オーグ製品担当副社長であるクリス・ダニエルズは、プロジェクトの対象となっているのは主にネットをまったく使ったことのない人々だと言う。

先週行われたインタビューでダニエルズは、インドではインターネット・ドット・オーグのおかげで約100万人が初めてネットを利用したと語った。ネットアクセスを始めてから30日以内に、約40%の人々が有料接続サービスの利用を始めた一方で、5%がそのまま無料接続を使い続け、残りはネット利用をやめたという。「これは人々とネットを橋渡しするためのプログラムで、非常にいい結果を出している」とダニエルズは言う。

「ネット接続には人の生活を改善する作用がある。使う人が自力で仕事を見つけたり、健康状態を自ら改善したり、自分やわが子の教育水準を高めたりする助けとなる」

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