マーク・ザッカーバーグ、インドで思わぬ反発 壮大な「善意」は空振りに終わるのか
もしフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が、インターネットにつながっていない世界の40億人にインターネットアクセスを提供するというビジョンを実現したいと思うなら、まずはショアイブ・カーンのような商店主の気持ちをそそるようなプランを立てる必要がある。
カーンはインドのムンバイにあるスラム街で、香水と携帯電話の店を経営している。カーンは最近、ザッカーバーグが推進する「インターネット・ドット・オーグ(Internet.org)」というプロジェクトの青い大きな広告を店の奥に掲示するようになった。同じような広告は、店先にも目立つようにもう1枚貼られている。
インターネット・ドット・オーグは、ネットアクセスを世界に届けることを目的としたプロジェクトで、インドでは携帯電話会社リライアンス・コミュニケーションズと提携して無料ネット接続サービスを提供している。
店主でさえも理解していない
だが記者がインターネット・ドット・オーグについて尋ねたところ、カーンはわからないと答えた。どういうサービスなのか説明したが、カーンは手厳しかった。
「リライアンスの接続はとても不安定だ」と、カーンは頭を振りながら語った。「その点をきちんとお客にわかってもらわなければならない」
インターネット・ドット・オーグがインドでネット無料接続サービスの提供を始めたのは今年2月。それからの苦闘ぶりを見れば、善意と専門知識をもってしても、「すべての人にネット接続を」という高貴な目標の達成は難しいことがよくわかる。
カーンのような販売業者から信頼を得られていないこと、それにインド側パートナーであるリライアンスの実力不足。この2つがプロジェクトの前進を阻んでいる。