この時点で、8人中5人が同じ方向を向いていると、「集団同調性バイアス」が働く。残りの3人も徐々に態度を変えていくものだ。「長いものに巻かれる」という言葉があるが、これは決して悪いことではない。人間が持つ自然な心理を活用した、効率的なテクニックなのだ。
ある企業の企画部主任は、この方法で会社全体の空気を変えた。
部署横断型プロジェクトを立ち上げ、「わざわざGO!」というスローガンを作った。「何事にもチャレンジし、わざと失敗しろ」という意味だ。最初は9人だけが使っていた言葉が、やがて社内中に広まり、「失敗を恐れない社風」が定着した。
Z世代が求めているもの
Z世代の若者には、データや理屈で「論破」しようとするのはやめよう。
Z世代は「空気」「雰囲気を大切にする傾向がある。それは彼ら彼女らが「つながり」を重視する世代だからだ。SNSで常に他者とつながり、「いいね」の数で承認を得る。そんな彼らにとって、周囲との一体感や共感こそが行動の大きな原動力なのだ。
だからこそ『鬼滅の刃』のような現象が起きる。「みんなが観ている」という事実が、何よりも強い動機になる。胸の中にあった小さな種火に火がつくのだ。
職場でも同じだろう。正しさより、楽しさ。論理より、共感。それがZ世代を動かすキーだ。そのためにも、まずは小さな変化から始めよう。空気を変えるのだ。すぐに火がつく「自燃人」をその気にさせ、楽しそうな雰囲気を作る。それが広がり、やがて大きなムーブメントになる。
論破では人は動かない。空気が人を動かすのだ。
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