合格率8割の試験は心配でも、なぜか宝くじは「たまには当たるさ」と楽観的に考える人の"驚きの胸中"

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ネクタイだけなら1万円は高いと感じるのに、7万円のスーツとセットだと、高いと感じない。これは7万円の買い物をしたのだから、8万円になっても、さほど変わらない、という意識が働くせいでしょう。

つまり、状況によって参照点は変わり、つねに相対的に判断されるということです。

「利得の嬉しさ」より大きい「損失の悲しみ」

人は損失をなにより嫌うものです。私たちの意思決定には「損失回避」が大きく働いている、とするのがプロスペクト理論の特徴のひとつです。

利得の嬉しさと比べて損失の悲しさがどのくらい大きいかをグラフで示したのが、下の「価値関数」です。このグラフを見ると、利得の嬉しさを示す曲線よりも、損失の悲しさを示す曲線のほうが度合いが大きいことがわかります。

(出所:『なぜ人はそれを買うのか? 新 行動経済学入門』より)

具体的にいえば、利得と損失が同じ額なら、損失による悲しさの度合いは、利得の嬉しさよりも2.25倍だといいます。引き出しの奥から忘れていた1万円札が出てきた喜びよりも、うっかり1万円札を落としたときの落胆のほうが2倍以上大きいわけです。

だから、たとえたいして儲からなくてもいいから、損だけはしたくないと思う。これが、私たちに「損失回避」をさせる理由です。

ちなみに、利得も損失も大きくなるにつれて、嬉しさ・悲しさの感情のふくらみが落ち着いていきます。

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