合格率8割の試験は心配でも、なぜか宝くじは「たまには当たるさ」と楽観的に考える人の"驚きの胸中"

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一方の評価段階では、その参照点をもとに選択肢を評価して、もろもろの事象が起きる確率を探ろうとします。こうしたプロセスを経て、私たちは意思決定をして行動に移している、というわけです。

(出所:『なぜ人はそれを買うのか? 新 行動経済学入門』より)

要するにポイントは、参照点を軸に選択肢をどう評価するか――。そこでまず、プロスペクト理論の要である参照点について、くわしくみていきましょう。

90点で「喜ぶ人」もいれば「喜ばない人」もいる

同じものごとを評価するのでも、参照点は人によって、あるいは状況によってまちまちなものです。どこまでは得で、どこからが損になるか。利得と損失の判断を分ける基準点である参照点をどこに定めるかは一様ではありません。

学校で成績がそこそこのA君はテストで90点をとると大喜びしますが、成績トップのBさんは90点でもそれほど喜びません。A君が満足できる参照点は60点、Bさんのそれは90点。つまり、ものごとの価値はその人の参照点からの距離で決まるということです。

(出所:『なぜ人はそれを買うのか? 新 行動経済学入門』より)

さらに、同一人物であっても参照点は一定ではありません。

たとえば、ふだんは数千円のネクタイで充分だと思っていた人が、久しぶりに7万円のスーツを買いました。そのとき店員にすすめられて1万円のネクタイも買ったが、それほど高いとも思いませんでした。

次ページ高い、安いの判断は、つねに相対的
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