【ベトナム現地ルポ】マンション価格が5年で爆上がりエリアも! 日本も参画、10年で激変したマンション市場の最前線
「ベトナム全土で見た時に、住宅は基本的には一戸建てを含む低層住宅がメインです。しかし、都市化と中間層の拡大による急速な住宅需要の高まりを受けて、ここ10年で伸びているのがコンドミニアム(マンション)市場。まだまだ若い市場です」
ベトナムの人口は約1億30万人(※1)、平均年齢は32.4歳(※2)と非常に“若い国”と言われている。また、GDP(国内総生産)もここ5年で平均5.2%で成長を続けており(コロナ禍の停滞を含み、最も成長率が高かった2022年は成長率8.0%)、今後も持続的な成長が見込まれているという。
※1:2023年時点、越統計総局調査
※2:2021年時点、JETRO 教育(EdTech)産業調査

2016年時点では低所得者層(1世帯当たりの年間可処分所得4999USドル以下)が60%を占めていたのに対し、2021年時点で低所得者層が46%まで減少。代わりにマンション購入が可能な富裕層寄りの中間層(アッパーミドル層・1万5000~3万4999USドル)と富裕層(3万5000USドル以上)が、あわせて8.5%まで伸長した(2016年時点は4.9%)。
富裕層寄りの中間層の拡大により、マンション購入のニーズが高まっているというわけだ。
「今マンション購入をしているのは、中間層や富裕層寄りの若年層です。一方で、40代以上や、富裕層は高額な一戸建てを求める傾向があります」

2010年代、日本企業が一斉に参画
そんなベトナムの不動産市場に日本企業が参入し始めたのは、2010年ごろ。当時、日本国内の不動産市場はリーマンショックに伴う、不動産ミニバブルの崩壊で縮小傾向にあり、閉塞感を抱えていた。一方で、成長著しいアジア市場は、まさに“金脈”。ゴールドラッシュがごとく、多くの日本企業が期待をもって進出した。
「時代はまさに“ベトナムブーム”でした。ピークは2016年。2015年から2017年までの3年間で約30社の日系企業が投資をしました。しかし驚くことに現在も投資を継続している企業は片手で数えられるほどです。つまりほとんどの日系企業が1件目のプロジェクトだけで撤退し、2件目も参画するぞとはならなかった。これが大きな特徴です。
また、ベトナムのマンション市場はまだまだ安定しておらず、年によっては地元企業の『Vinhomes(ビンホームズ)』などが圧倒的なシェアを占めることもあります。日系企業以外の外資系では、シンガポール企業の勢いも増しており、他にもマレーシアやカザフスタンなど多様なプレーヤーが活躍しています」