「教育移住」でエグゼクティブに人気のシンガポール。日本の詰め込み型教育とは何が違うのか

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窪田:10代の頃は、スクールカーストが生まれがちです。よく勝ち組、負け組、という言い方をしますが、そんなふうに子どもたちを分けないために配慮された教育のあり方なのですね。

田村:そもそも学力だけでは、この世の中は乗り越えられないですからね。日本の教育ももともとはリーダーを産む全人格教育だったと思うのですが、戦後に優秀な指示待ち人間を産む偏差値教育にシフトしてしまい、学校も学部も偏差値で選び、就職先も就職人気ランキングで選んでしまっているように思います。その結果、就職にも勝ち組、負け組という言葉が使われています。

でも、今はアメリカが特にそうですが、SP500に入っている大企業でも盛者必衰、下剋上の連続でどんどん入れ替わります。勝ち組だと思っていてもどこで転落するかはわからない。偏差値→就職人気ランキングというルートは危険です。

窪田さん
くぼた・りょう/慶応義塾大学医学部卒業。慶応大医学部客員教授、アメリカ・NASA HRP研究代表者、アメリカ・シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経てアメリカ・ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、アメリカ・FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている(撮影:梅谷秀司)

それとインターナショナルバカロレアでは自分がオーナーになる発想ですから、日本のような高年収での雇われを目指すような発想がそもそも薄いです。人生は長くなり、テクノロジーの進化が職の安定を根幹から崩していきます。どんな時代が来ようとも自らの頭で考えて生き抜く力を養うような教育が必要だと思います。

母子留学も活発

窪田:まだ日本の学校ではそうした考えが浸透しているとは言えませんが、すでにそうした意識を持って、アンテナを立てている親御さんたちはいますよね。

田村:そう思います。私が以前、日本で暮らしていた地域のコミュニティには、お子さんを海外のサマースクールに連れ出したり、母子留学をされたりと、積極的に動いている方たちもいます。十数年前と比べると、日本もだいぶ変わってきたと感じます。

窪田:親御さんたちの意識と行動が変わってきているというのは興味深いですね。次回は、田村さんが体験された世界最先端の「長寿クリニック」の話題を中心に、シンガポールの健康事情をお聞きしていきます。

(構成:安藤梢)

田村 耕太郎 国立シンガポール大学リー・クワンユー公共政策大学院兼任教授、2022~2026年一橋大学ビジネススクール客員教授

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たむら こうたろう / Kotaro Tamura

カリフォルニア大学サンディエゴ校グローバル・リーダーシップ・インスティテュート フェロー。デューク大院、イェール大院、各修了。
元参議院議員。第一次安倍政権で内閣府大臣政務官(経済・財政、金融、再チャレンジ、地方分権)。
ハーバード大学、ランド研究所、ミルケンインスティテュートで研究員。
Open AI, SpaceX, Scale AI, Neuralink等の70社以上の世界のテクノロジースタートアップに投資する個人投資家でもある。
シリーズ累計91万部突破のベストセラー『頭に来てもアホとは戦うな!』、『地政学が最強の教養である』など著書多数。

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窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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くぼた りょう / Ryo Kubota

慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。

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