「通うのが楽しみに」団塊世代を惹きつける"料理特化型"デイサービスの全貌。《まるでおしゃれなカフェ》料理リハビリという新しい選択

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娘家族と同居する小川友英さん(93歳)は、「もともと料理が好きだった」こともあり、家族の勧めで6年前からスタジオに通うように。

一般的な家庭料理とは異なる、真新しいメニューを学ぶのが次第に楽しみになり、「毎週月曜日になないろに行くのが生きがいになっているの。もう、ここなしでは一週間が始まらないって感じ(笑)」と、声を弾ませる。

とくに珍しい料理や気に入ったメニューは、レシピをもらって自宅でも再現するそう。「子どもや孫が喜んでくれるから、それも励みになっている」という。

小川友英さん
「長いこと生きてきたけど、今が一番楽しい」とほほ笑む小川友英さん(写真:SOYOKAZE提供)

同施設を運営する株式会社SOYOKAZE・事業部長の神永美佐子さんはこう話す。

「最初は皆さん、ご家族に連れられて見学にいらっしゃるのですが、『デイに通うのはちょっと……』『今さら料理なんて……』と抵抗感を示される方も少なくありません。

でも、スタジオに通い始めて、スタッフやほかのお客様と楽しく会話しながら新しい料理に挑戦するうちに、どんどん前向きになって表情も明るくなられる方が非常に多いのです」

そうした変化は日常生活をともにする家族からも聞こえてくる。

「うちでは一日中、テレビを見ていて会話の少なかった母が、『今日はこんな料理をつくったのよ』と自分から話してくれるようになった」

「もう二度と母の手料理を食べられないと思っていたけれど、久しぶりに台所で料理する姿を見て感動した」

などの声も多いという。

「最初は車椅子でいらしていたお客様が、調理に集中するうちに自然と立ち上がるようになって、次第に車椅子を使わずに歩いてこられるようになったケースもあります」(神永さん)

目指したのは「団塊世代に選ばれるデイ」

要介護者向けのデイサービスは、介護する家族の一時休息(レスパイト)を目的とした「預かり型」が主流だ。身体機能の維持・向上を目的にさまざまなレクを試みるデイもあるが、実際の現場ではまだまだ「受け身的で、何もしない時間も多い」「やらされ感がある」といった声も多く聞こえる。

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