関西万博「3Dプリンター建築」最前線!ギネス認定「森になる建築」、土のトイレなど・・・建設ITジャーナリストが注目したユニークな作品は?
●その他

3Dプリンター建築、今後はどうなる?
万博での事例を通して、3Dプリンター建築がようやく実用的になってきたと感じた、と家入さん。
「日本は地震国なので、3Dプリンターで建物をつくるのは難しい面がありました。ですが、建築確認申請を取った管理棟の例もあり、モルタルで外側をつくって中に鉄筋を入れ、生コンクリートを流し込んで固めていくようなつくり方が標準化されて、実用的になってきたのかなと感じています」

今後、国内外で3Dプリンターの建築はどうなっていくでしょうか?
「これまではデザインがおもしろいとか、先進的な技術に興味がある人が3Dプリンターを使う例が多かったと思います。これからは、工期短縮、低コストというメリットのために使われることが増えていくでしょうね。
これは、アメリカでも報道され話題になったのですが、JR西日本とJR西日本イノベーションズ、セレンディクスの3社が、世界で初めて3Dプリンターを使って鉄道駅舎を建設しました。
工場でパーツをつくり、現場で組み立てる工法で、終電が終わってから始発までのわずか5~6時間で建て替えてしまったのです。これは企業が奇をてらってやったのではなく、低コスト、短工期のために3Dプリンターを使ったという走り。今後こういった事例はどんどん増えていくのではないでしょうか」

「さらに、これまでプレハブが使われていた仮設住宅の建設も、3Dプリンターが活用されるようになるかもしれません。プレハブは大量生産に適していて、3Dプリンターは一品生産に向いているもの。3Dプリンターはプログラムを変えるだけで、それぞれの敷地に合った建物が設計でき、それを量産できるのが大きな強みです。
また建物に限らず、目立たないところですが、港の波返し工や集水枡(しゅうすいます)など地形に合わせてつくる必要がある土木建造物にも、3Dプリンターの活用は適しています」
最後に、国産の3Dプリンターについて教えてください。
「これまではほとんど海外製でしたが、折りたたみ式で、トラック一台で現場に持っていくことができる『Polyuse(ポリウス)』という日本製プリンターが登場しています。価格は3300万円。少し高い気もしますが、使い方のコンサルティングも含まれているそうなので、使い勝手はいいのではないでしょうか」
3Dプリンターの技術は、人手不足と長時間労働の削減が課題の日本にとって、今後さらに大きな力になってくれることでしょう。ひとまず、大阪・関西万博に行く予定があるという人は、3Dプリンターでつくられた建築物やアイテムに着目して巡ってみると、ワクワクするような近未来が見えてくるかもしれません。
(取材・文/塚田真理子)
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