関西万博「3Dプリンター建築」最前線!ギネス認定「森になる建築」、土のトイレなど・・・建設ITジャーナリストが注目したユニークな作品は?
「会場内のトイレは若手の建築家が設計しているものが多く、トイレだけを見ても個性があっておもしろいですよ。『トイレ4』は、浜田晶則建築設計事務所代表の浜田晶則さんが設計したものです。イタリアの建設用3Dプリンターの老舗メーカー、WASP社から機械を輸入して、富山で1m×1mほどの外装パネルを積層出力。現地に運び、木造の躯体に貼り付けたそうです。外装パネルの素材は土で、こちらも砕けば簡単に元に戻せる、自然に還る素材です」
土は強度的には大丈夫なのでしょうか?
「土だけだと崩れるおそれがあるため、コンクリートではなく、マグネシウム系の硬化剤と藁や海藻のりを加え、強度と粘性を高めています。藁は引っ張りに強いので、ひび割れが広がらず、鉄筋のかわりになります。WASP社は以前から、土と藁を混ぜてドロドロにしたものをコンクリートのように積んでいくつくり方をしていましたね」
トイレの横にあるプランター兼ベンチも、同じ素材を使い、3Dプリンターで出力したものなのですね。
「ベンチは3Dプリンターを持ち込んで、現地で造形したそうです。実際に座ってみましたが、しっかりしていて快適でした。土の塊ですので、暑い日も熱を吸い取ってくれるような感じがしましたよ」

波打つポリカーボネート製の「トイレ7」
人口水辺「ウォータープラザ」の前にある「トイレ7(島の蜃気楼)」の外装は、波打つカーテンのような半透明のパネル。光や周囲の景色、人の動きを反射して、時間帯や天候によって異なる表情を見せるというから、まさに蜃気楼のよう。これも3Dプリンターでできています。