関西万博「3Dプリンター建築」最前線!ギネス認定「森になる建築」、土のトイレなど・・・建設ITジャーナリストが注目したユニークな作品は?

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「実はこれ、3Dプリンターで施工されたものなんです。材料は、化学メーカーのダイセルが開発した酢酸セルロース樹脂『CAFBLO(R)(キャフブロ)』。木材が原料で生分解性があるため、屋外に置いておけばいずれ自然と分解され、土に還るというものです。

竹中工務店のプレスリリースによると、現地に3Dプリンターを持ち込んで出力した現場造形で、3週間ほどで完成したとか。生分解性樹脂を構造材として一体造形した、世界最大の3Dプリント建築(正式な登録名称は『最大の生分解性の3Dプリント建築(一体造形)』)として、2024年10月25日付けでギネス世界記録(TM)に認定されています」

(写真提供/家入龍太さん)

中に入ると、上部から空や緑が見える

酢酸セルロース樹脂でつくられた構造体は透明感があり、日光や木漏れ日を透過します。外装材には、草木の種を漉き込んだ紙「Seeds Paper」が貼られていて、これは「かみすきWORKSHOP」で一般市民の方々がつくったものなのだとか。

(写真提供/家入龍太さん)
中に入ると、上部から空や緑が見える(写真提供/家入龍太さん)

「樹脂の断面がトラス状になっていて、凹んだところに土が入っているようでした。外装材の紙に種が入っていて、一部では種から植物が芽吹き始めていていました。おもしろかったですね。中は、内壁に沿って曲線形のベンチが設けられていて、10人くらいが入れる広さ。上部の中心が開いていて、風通しもよかった。本格的な猛暑日は暑いでしょうが、私が行ったときは意外と涼しく休憩できました」

涼しさの秘密は、ベンチの下に氷が入っていることと、クールチューブ(※)で冷えた外気をベンチの下から屋内に送っていることにあるようだ。

※クールチューブ:地中に埋設した管を通して外気を屋内にに送り込む手法。地中は、年間を通じて温度が安定しているため、地中を通る際、夏の暑い空気をやわらげる。今回は酢酸セルロース製の管を一部使用

(写真提供/家入龍太さん)
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