「女にできる仕事じゃない」と言われて火がついた…老舗豆腐店・4代目が継いだ父の“頑固一徹な味”と挑む“新たな売り方”

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
たま厚揚げ(280円)と卵とうふ(2個入り220円)(筆者撮影)
たま厚揚げは、外は香ばしく、中はプリンのようになめらか。味がしっかりついているので、そのまま食卓に出せる手軽さもうれしい(筆者撮影)
ハートやバラ、くまちゃんの形をした豆腐。下田さんのアイデアかと思いきや、かつて雑貨店で働いていた泰功工場長発案とのこと(筆者撮影)

まったりおぼろ豆腐は、「『豆腐づくりは女にはできない』と言われて、『15リットルくらいであれば作れるわ!』と私用の機械を作ってもらった」という下田さんが作っている。国産大豆を3種類ブレンドした豆乳で作っているので、濃厚で大豆の甘みがある。舌触りがなめらかで、夏の食欲のないときにもペロリと食べられる。

まったりおぼろ豆腐(300円)。人気商品のため、早い時間に売り切れてしまうことも多い(筆者撮影)

まったりおぼろ豆腐は店舗のみの販売

「本当はまったりおぼろを自動販売機にも入れたいのですが、繊細なので、崩れてしまって……」。壊れやすい品物も扱えるベルトコンベアー式の自動販売機もあるが、当面は機械を変える予定はないそうだ。

「お米の値段が上がっていることはニュースになっているのでご存じの方も多いと思います。でも、あまり知られてはいないのですが、大豆の値段も上がっているんです。私が家業に入った10年前から価格が2倍になっています。大豆もピンキリで、古古米みたいな大豆もあるんですけど、安い大豆に切り替えると、お豆腐の味を守れない。お豆腐は日配品なので価格を上げづらいので、いまはどこのお豆腐屋さんも苦労していると思います」

高知の住宅地で愛される自動販売機。その向こうには、118年間変わらぬ味を守り続ける職人の想いと、時代に合わせて柔軟に変化していく姿があった。守るべきものと変えていくものの見極め──それこそが、地方の老舗が生き残る道なのかもしれない。

自動販売機の豆乳や豆腐もおいしいが、営業時間内に足を運べるなら、ぜひ直売店で「まったりおぼろ豆腐」なども味わってみてほしい。職人が一つ一つ手作りする豆腐の違いを、きっと実感できるはずだから。

【画像を見る】老舗豆腐店の店内&商品ラインナップはこんな感じ。本編で紹介しきれなかった画像も。
山田 智子 フリーライター・カメラマン

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまだ ともこ / Tomoko Yamada

日本サッカー協会勤務を経て、2013年に独立。フリーのスポーツライター・カメラマンとして、東海地方を拠点にバスケットボール、サッカー、フィギュアスケートなどさまざまなスポーツの現場を飛び回る。『Number』『中日新聞』など各種媒体に寄稿するほか、愛知県のバスケットボールWEBマガジン『愛B café』を運営。競技の魅力だけでなく、アスリートの知見のビジネス活用やスポーツを通じた街づくりにも関心を持ち、現場目線での取材・執筆を行っている。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事