


まったりおぼろ豆腐は、「『豆腐づくりは女にはできない』と言われて、『15リットルくらいであれば作れるわ!』と私用の機械を作ってもらった」という下田さんが作っている。国産大豆を3種類ブレンドした豆乳で作っているので、濃厚で大豆の甘みがある。舌触りがなめらかで、夏の食欲のないときにもペロリと食べられる。

まったりおぼろ豆腐は店舗のみの販売
「本当はまったりおぼろを自動販売機にも入れたいのですが、繊細なので、崩れてしまって……」。壊れやすい品物も扱えるベルトコンベアー式の自動販売機もあるが、当面は機械を変える予定はないそうだ。
「お米の値段が上がっていることはニュースになっているのでご存じの方も多いと思います。でも、あまり知られてはいないのですが、大豆の値段も上がっているんです。私が家業に入った10年前から価格が2倍になっています。大豆もピンキリで、古古米みたいな大豆もあるんですけど、安い大豆に切り替えると、お豆腐の味を守れない。お豆腐は日配品なので価格を上げづらいので、いまはどこのお豆腐屋さんも苦労していると思います」
高知の住宅地で愛される自動販売機。その向こうには、118年間変わらぬ味を守り続ける職人の想いと、時代に合わせて柔軟に変化していく姿があった。守るべきものと変えていくものの見極め──それこそが、地方の老舗が生き残る道なのかもしれない。
自動販売機の豆乳や豆腐もおいしいが、営業時間内に足を運べるなら、ぜひ直売店で「まったりおぼろ豆腐」なども味わってみてほしい。職人が一つ一つ手作りする豆腐の違いを、きっと実感できるはずだから。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら