「女にできる仕事じゃない」と言われて火がついた…老舗豆腐店・4代目が継いだ父の“頑固一徹な味”と挑む“新たな売り方”

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もめん豆腐や卵とうふも、「すぐに食卓に出せる」と人気だ。逆に、あまり売れずに自動販売機での販売をやめてしまった商品がおからだ。「うちは国産とカナダ産の大豆を使用しているのですが、国産のおからは量が少ないので、自動販売機にはカナダ産のおからを入れていました。もしかして国産のものだったら売れたかもしれないですね。今度試しに入れてみようかな?」。

実際に、直売店で国産のおからはよく売れている。取材中にも「娘がおからドーナツを作るために、先日スーパーで購入して。おいしかったので追加で買いたかったのだけど、今日はスーパーでは売っていなかったので、こちらまできました」と国産のおからを求めて駆け込んできたお客様がいた。お客様のニーズに応えようと、下田さんの試行錯誤は続く。

ところで、なぜ創業118年の老舗は自動販売機での販売を始めたのだろうか。

朝2時から働く豆腐店を支える、24時間働く強力助っ人

しもだお豆腐店が自動販売機を設置したのは2020年。新型コロナウイルス感染症の流行を受け、客足がガクンと落ち込んだことがきっかけだった。

「お店は開けていたんですが、決まって何曜日にと定期的に来てくださっていたお客様もパタリといらっしゃらなくなりました」

ちょうどその頃、下田さんは自販機の営業の電話を受けた。「対面販売には抵抗があってお店には入りたくないけれど、自販機であれば買いに来てくださるかもしれない」と設置することを即決した。

リースのため、大きな初期投資は必要なかったのも決断を後押しした。「大好きなユニコーンのイラストを描いてくれて、私の要望通りのデザインにしてくださったので、見るたびに気分が上がります」と下田さんは声を弾ませる。

店内のいたるところにユニコーンが配されている(筆者撮影)

「お豆腐は単価が高くないので、売り上げが爆発的に上がることはないですけど、助けになっています」

コロナが終息してからも、自動販売機の売れ行きは変わらない。というのも、豆腐店の朝は早い。しもだお豆腐店は朝2時から製造をスタートするため、どうしても閉店時間が早くなる。月、火、木、金は9時から14時まで、土曜日は9時から16時まで。「お店のほうがたくさんの種類があるので、開いている時間は直売所で、閉まっているときは自動販売機で購入してくださる近所の方も多いようです」。

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