「女にできる仕事じゃない」と言われて火がついた…老舗豆腐店・4代目が継いだ父の“頑固一徹な味”と挑む“新たな売り方”

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ただ、その苦労が、豆腐に対する敬愛を強くしていった。「子どもの頃、工場に遊びにいくと、従業員のおじちゃんおばちゃんが『よく来たね』ってやさしく迎えてくれたんですけど、こんなに大変な仕事をされていたのかといまさらながらに知って、あらためて感謝しているところです」。

老舗に似合わぬ、ファンシーな直売店を作った理由

シャンデリアに、アンティークの白い飾り棚やテーブル、ショーケース。一見するとケーキ屋のような直売店を工場の横に新設したのも、その感謝の気持ちが背景にあった。

しもだお豆腐店の店内(筆者撮影)

「出来立てのお豆腐を食べていただきたくて、父の反対を押し切って直売所を作りました。私がアンティークを好きだということもありますが、職人さんが一丁一丁手作りしているお豆腐を、ケーキのように丁寧に手渡したかったんです。

つい先日もね、大学生くらいの若い男の子がケーキ屋さんだと間違えて入ってきてくれたんです。『ごめんよ。お豆腐なんです』と言ったら、何も買わずに帰って行きました。かわいいお豆腐もあるから、買ってくれるかなとちょっと期待したんですけど、さすがにお豆腐はいらなかったみたいですね」

まったりおぼろ豆腐を持つ下田さん(筆者撮影)
この波模様も職人が一つ一つカットしているそうだ(筆者撮影)

ショーケースにはその日に作られた豆腐や厚揚げなどが丁寧に並べられている。すべて自信作。中でも、下田さんのおすすめは「たま厚揚げ」と「まったりおぼろ豆腐」だ。

どの商品にも手書きの説明文を添えているところに、下田さんの仕事へのひたむきさが感じられる(筆者撮影)

たま厚揚げは、自動販売機でも販売している「卵とうふ」を揚げたもので、ほかの豆腐店では見かけたことがないオリジナル。工場長である弟の泰功さんの発案だという。

外は香ばしく、中はプリンのようなとろける食感。上品な味付けであっさりとしているが、揚げてあるので食べ応えもある。卵とうふ自体に味がついているので、そのまま食卓に出せるのもうれしい。

次ページ大豆の価格は10年前から2倍に
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事