「トイレットペーパーみたいに生理用品も置いてほしい」はSNSで炎上も…生理用ナプキンが”タダでもらえる”施設がじわり増加の理由とは?

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まず、ナプキンを必要とする人は急場を凌ぐことができて助かり、こうしたサービスを受けられることに安心を感じられる。

スポンサー企業は設置される場所に応じ、ターゲットに最適な広告を出すことができる。SDGsに貢献する企業であるというブランディングにもなる。

ディスペンサーを設置する企業や施設側は、顧客満足度向上や福利厚生につなげられる。

そして生理にまつわる不安、負担、不便を減らしていくことで女性活躍が推進でき、社会課題の解決にも寄与する。

ディスペンサーとアプリを開発、製造し、仕組みを運営しているのがオイテル株式会社。サービスを発案し、形にしてきたのは同社の飯崎俊彦氏。なぜ男性である同氏が、生理の問題に取り組んだのだろうか。

きっかけは、63歳になる氏が5年前、ビジネス人生の集大成として、社会課題の解決に取り組みたいと考えたことだったそうだ。着目したのがジェンダーギャップだった。

「女性はライフステージで生理による機会損失が多い。そして男女の賃金格差がすでに大きいのに、生理用品、下着、診療費、それらにかかる消費税など累計で約100万〜200万円の出費になる。

生理のある人にとっては避けられない現実であるにもかかわらず、経済的・心理的な負担、さらには社会活動の足かせとなっていることが、個人の責任として押し付けられている。この現実に強い違和感を抱いていた」

実際にサービスのアイディアへと結びついたのは、インターネット検索で見つけた「なぜ、トイレットペーパーはトイレに常備されているのに生理用品はないの?」というつぶやきだった。

「『これだ!』と思った。男性社会では、女性だけが声を上げても“女性の問題”として片づけられてしまい、根本的な変化につながりにくい。だからこそ、男性が介入することに意味があると感じた」

アプリを起動してスマートフォンをかざすとナプキンが受け取れる(写真:筆者撮影)

丸井の例、江東区の例

前例のないサービスであったため、当初は設置先の営業に苦労したという。女性だけを対象とするサービスは困る、そもそも必要ない、などと門前払いされた。

最初に導入が決まったのが大手不動産デベロッパー。窓口となったのは若手の男性で、埼玉の商業施設に導入してもらえた。そこからメディアにも取り上げられるようになり、企業から問い合わせが来るようになったそうだ。

現在は商業施設や交通機関、公共施設、オフィス、学校など幅広く導入されている。

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