昭和初期と比べて現代人の「噛む回数」は半分に減少していた…メタボを招く早食いを防ぐための、調理法のちょっとしたコツ

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昭和初期と現代を比較すると、噛む回数、食事時間ともに半分に減っていることがわかりました。使う食材は同じでも、硬く、食べにくくなるように調理すれば、ダイエットに役立ちます(写真:w_stock/PIXTA)
若い人の顎があまりに細く、小さくて、驚くことがありますが、それもそのはず、現代人の噛む回数は昭和初期と比べても半分に減っています。
硬いフランスパンや堅焼きせんべい、するめといった、噛む力が必要な食べ物を、最近食べていないな……という方も多いのではないでしょうか。
巷には柔らかい食感のおいしいものがあふれていますし、忙しい現代人はおにぎりや麺類、サンドイッチといった噛み応えの少ないものをサッと食べて、食事を終えることがよくあります。
しかし、よく噛まずに短時間でサッと食べ終える早食いは、メタボリック症候群を発症しやすいというのは、れっきとしたエビデンスのある話なのです。
のべ30万人以上を診察した内科医の奥田昌子医師は、新著『これをやめれば痩せられる』で、科学的根拠をもとに日本人がもっとも効率よくやせる方法を紹介。
以下ではその奥田医師が、「早食いとメタボの関係と、よく噛むための調理法の工夫」について解説します。

早食いの人はメタボになりやすい

食べる速度というのは、自分でなかなかコントロールできないもののようです。仕事が忙しくて食事時間が不規則だったり、時間が十分に取れなかったりする人は、たいてい、かき込むように食事をして、さっと職場に戻っていきます。

やむをえないともいえますが、気の毒なのは、早食いが次第に当たり前になってしまうことです。プライベートでも、あっというまに食べ終えて、他の人たちが終了するのを手持ちぶさたに待つはめになります。

そのうえ、早食いすると食欲にブレーキがかかりにくくなり、食べすぎにつながってしまうのです。

何かを食べて血液中のブドウ糖の濃度、すなわち血糖値が上がると、脳にある満腹中枢が血糖値の変化を感じ取り、「もう十分だよ」と信号を体に送ります。

食物を摂取してから信号が出るまでの時間は15分くらい。

ところが、早食いの人は5分もあればどんどん食べてしまいますから、満腹中枢が働くころには、とっくに平らげてしまっているのです。

しかも、早食いすると血糖値が急上昇します。そうなれば、膵臓からインスリンがあふれるように出てきて、ブドウ糖を脂肪にして蓄える現象も起こります。

日本で実施され、2017年に学会で報告された研究から、早食いの人は実際にメタボリック症候群を発症しやすいことがわかっています。いわゆるメタボです。

調査開始時点でメタボではなかった1000人を、食べる速さによって3つのグループに分けて、その後の5年間にメタボになった割合を比較しました。

すると、早食いグループでメタボになった人が11.6%だったのに対し、ゆっくりグループは2.3%、中間グループは6.5%でした。

そして早食いグループは、腹囲、体重、血糖値が高い人が多かったのです。

では、よく噛んで、ゆっくり食べるとどうなるでしょうか。

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