「そっちで取引先に聞いておいてよ」と言われても…理不尽に社内で煙たがられがちな《経理》の"切実な悩み"を解決する方法

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相談例では、たとえば今後も入金遅延が生じた際に「Aさんにお願いしても対応してくれないから」と、Aさんに断りなく取引先に直接連絡をしてしまうような対応も考えられますが、その手段は選択すべきではありません。

こうした曲芸コミュニケーションは、経理担当者の仕事と責任を無駄に増やすことになり、しかも正式ではない歪んだ実務が横行することになるため、会社組織の成長を妨げ、時には経理不正につながってしまうこともあります。

また、環境が変わると通用しなくなる方法でもあるため、ある会社では評価されていた経理担当者が、転職先の会社では新人同様の扱いをされてしまう……というケースもあります。

曲芸コミュニケーションに依存しない仕組みづくりを

正直なところ、筆者が事業会社の経理担当者であった頃は、筆者自身も曲芸コミュニケーション派の期間が長かったタイプです。諸先輩方の対応を見て表面的に真似してしまっていたことが原因ですが、当時の自分の理解が浅かった部分も関係しています。

経理担当者がコミュニケーションを取るのは、イレギュラー対応のためであることが多いのですが、イレギュラー対応がうまい経理担当者には2パターンいます。

①同様の案件でも、常に『イレギュラー対応』する(=曲芸コミュニケーション)
②1度起きたイレギュラー対応を材料とし、次に備えて仕組みを整える

①の方法は、自分が無理をする方法なので頑張りが必要です。ただし、自分だけが無理をすればよいので、言い方を変えれば楽な方法と言えるかもしれません。しかし、経理担当者に求められるのはこの方法ではありません。

本当に求められるのは②の方法で、「曲芸コミュニケーションに依存せずに資料が集まるような仕組みをつくること」です。この方法を選ぶと、「2度目の同じイレギュラー」は存在しません。ただし、慣れないうちは非常に煩雑で、周囲の理解が必要になる方法でもあります。

今回の相談例では、どのような対応が考えられるでしょうか。簡単な方法で解決することもあるかもしれませんが、大幅なルール変更が必要な場合もあります。

・売掛金の金額や遅延期間に応じて回収対応ルールを決め、営業部と共有する
・売掛金の回収状況をスプレッドシートで社内共有し、対応状況を常に明確にしておく
次ページマインドが変わるだけでも大きな一歩
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