「そっちで取引先に聞いておいてよ」と言われても…理不尽に社内で煙たがられがちな《経理》の"切実な悩み"を解決する方法
《筆者が受けた相談の実例》
この相談例のように、経理担当者は、自分の仕事として他部署の人に作業や資料の用意等を依頼するのですが、依頼された側にとっては、経理の依頼に応えることは優先度が低い事項です。各部署にもそれぞれの仕事があり、特に事業に直接関係する部署では売上を上げていくことが最優先であるからです。
もちろん、会社や人によって、仕事の捉え方は違います。会社全体で経理体制を支える意識を持って動く組織もありますが、必ずしもそのような環境ばかりではないのが現実です。相談例の営業担当者Aさんも、「営業は売上を取ってくるのが仕事、代金回収は自分の仕事ではない」という感覚の持ち主かもしれません。
また、経理体制が整っていない会社では、経理担当者が後で知る情報が多いため、経理の対応が後手に回ることも非常に多いです。結果的に、他部署からは「3か月前のことなんか覚えていない」「先に言って欲しかった」などと言われてしまう、という負のループに陥ります。
このように、経理担当者と他部署の担当者は軋轢が生じやすい関係にあり、経理担当者が誠実に仕事をしようとすればするほど、他部署の担当者との関係が悪化してしまうこともあるのです。
相手の事情に配慮したコミュニケーションを
では、経理担当者は他部署の担当者とどのようにコミュニケーションを取ればよいのでしょうか。
まず、取組みの第一歩としては「他部署の人とも、同僚としての普通のコミュニケーションができる」ことが大切です。人は誰でも、よく知らない人にお願い事をされても引き受けようという気持ちにはなりにくいものです。
一方、人となりを知っている人からお願いされると、引き受ける気持ちになりやすくなります。もちろん仕事上の関係ですから、仲良しになる必要はありません。たまに一緒にランチに行くなどして世間話をする程度でかまいません。