酒だけじゃない!肝臓を壊す"危険な成分"の正体。健康によさそうが招く「脂肪肝」の落とし穴――健康診断の数値と合わせてチェックを

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そのほか、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎などの自己免疫疾患、薬の副作用による薬剤性肝障害なども考えられます。

■やせている人も脂肪肝、チェック方法は?

さて、脂肪肝の話に戻ります。

脂肪肝は主にアルコール摂取が原因となるアルコール性脂肪肝(AFLD)と、飲酒が少ないか、まったくなくても発症する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に分けられます。

NAFLDはさらに、単なる脂肪の蓄積にとどまる単純性脂肪肝(NAFL)と、炎症により肝細胞の壊死(えし)や線維化が進行する、代謝異常に関連した脂肪肝炎(MASH)に分類されます。

診断の際には、ASTとALTの比率や中性脂肪、空腹時血糖などを評価し、腹部超音波検査で肝臓の異常の有無を確認します。

なお、健康診断でASTやALTが正常範囲だったからといって、油断できません。超音波検査で脂肪肝が発見されることは少なくないからです。

特に単純性脂肪肝では、血液検査の値が基準範囲内にとどまることが多いため、画像検査による評価が重要です。最近はやせている方の脂肪肝が多いので、一定年齢(たとえば50歳など)になったら法定健診だけでなく、人間ドックなどで腹部超音波検査を受けることが望ましいです。

■脂肪肝が怖いのは肝細胞がん・肝硬変に進むから

近年、脂肪肝が注目されている背景には、単に肝臓の異常にとどまらず、生活習慣病や全身の健康リスクと密接に関わっていることが明らかになってきた点が挙げられます。

日本人の3人に1人が脂肪肝と推定されるなかで、その多くが自覚症状のないまま進行し、MASHを経て、致死的な病気である肝硬変や肝細胞がんへと至ります。脂肪肝の20〜30%がMASHへと進行し、MASHは数年から十数年で肝線維化をきたし、肝硬変や肝細胞がんへと至るとされています。

また、心血管疾患や糖尿病、慢性腎臓病といった病気とも強く関連しており、“肝臓からの警告”として注目されています。

脂肪肝になりやすい人の特徴

脂肪肝になりやすい体質があります。その1つは内臓脂肪型肥満です。腹囲が大きい人(男性85㎝、女性90㎝が目安)や、BMIが25を超える人は要注意です。

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