「チャンスは自らの手でつかむ」は幻想?必要なのは「巻き込まれる力」だった――仕事を選ぶ人より選ばない人のほうが成功する訳

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「ギャグ漫画の巨匠」としてつとに知られる赤塚不二夫さんですが、じつはデビュー作は「少女漫画」でした。当時は「ギャグ漫画」というジャンルがなかったために、依頼されるのは少女漫画ばかりだったのです。

それでも赤塚さんは、少女漫画を丁寧に創作し続けました。そしてそのかたわらで、毎日ギャグ漫画のネタやネームを考え、それをノートに記すことを継続していたそうです。

そんなある日、チャンスがやってきます。週刊少年漫画誌で、他の連載に穴があき、急遽16ページの原稿が必要になったのです。

その際、担当編集者がトキワ荘のリーダー格だった石森章太郎さんに相談したところ、石森さんは赤塚不二夫さんを推薦します。そして、その漫画が、どれもこれも抜群に面白い。こうして赤塚さんは、「ギャグ漫画の王様」として一世を風靡していったのです。

赤塚不二夫さんが少女漫画を丁寧に描き上げていたように、「何かを差し出し続けること」は、あなたにとっても必要不可欠です。それを続けていれば、石森章太郎さんが赤塚不二夫さんのことを見ていたように、誰か見てくれている人は必ずいます。

コツコツと巻き込まれた、評価が高い人や信頼がある人にチャンスは訪れる。これは、ビジネスにおける真理だと、私は思っています。

仕事を選ぶ人ではなく、仕事に選ばれる人になりましょう。

「適職探し」とかいうムリゲー

さて、仕事の悩みとしてよくあるのが、「やりたいことが見つからない」というもの。

「今の仕事が自分に合っている気がしません」

「やりがいがなく、働いていて楽しくありません」

このような声を、特に若い世代の方々からよく聞きます。ただ、少し残酷な言い方に聞こえてしまうかもしれませんが、やりたいことなんて見つからなくて当たり前です。

日本には職種が1万7000種類以上あるといわれています。これだけの職種のなかから、「自分の天職はこれだ!」「これこそが自分の適職だ!」と確信を持てる仕事に出合うことが、そもそも“ムリゲー”なのです。

自分に合っている仕事か、向いている仕事かなんて、やってみないとわかりません。適職診断ツールなんてものは役に立ちません。

じつは、さまざまな仕事に巻き込まれることこそが、「本当にやりたいこと」を見つけるための一番の近道であり、最も理にかなった方法なのです。

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