「チャンスは自らの手でつかむ」は幻想?必要なのは「巻き込まれる力」だった――仕事を選ぶ人より選ばない人のほうが成功する訳

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このように、「チャンス」に関する名言は多くあります。それだけ「チャンス」というものが、仕事や人生にとって大きなものであることの証左だと思います。

サクセスストーリーなんかでよく聞く「事業に失敗した青年が、横断歩道を歩いているおばあさんの荷物を持ってあげたら、じつはその人は大富豪で、資金援助をしてくれて大成功できた」話のように、チャンスというのは思いもかけずある日、突然、誰にでもやってくるものです。

ただ、そのチャンスが「いつやってくるかわからない」のが困ったところです。

では、なぜ先の青年が一瞬のチャンスを逃さなかったか、考えてみましょう。

たとえばあなたが休日に街中を歩いているとき、重そうな荷物を抱えているおばあさんが目に入ったとしても、「助けたい」とは思うかもしれませんが、「大成功するチャンスだ」とは思わないはずです。それと同様に、きっと青年も「チャンスをつかみにいこう」として助けたわけではありません。

たぶん、青年はいつでも困っている人がいたら助けていたんだと思います。彼は困っている人を見ると放っておけなくて、いつも手伝ってあげていた。横断歩道でおばあさんをいつものように手助けしたら、たまたま大富豪だった。

これが「チャンスを逃さない人」の本質だと思います。

「チャンスは自らの手で」は幻想

先ほど、「チャンスというのは思いもかけずある日、突然、誰にでもやってくるもの」と書きました。チャンスは「やってくる」ものです。「自分からつかみにいく」ものではありません。

この前提を履き違えてしまい、「出世や成長のチャンスになりそうな仕事」ばかりを追いかけ、ビジネス人生を失敗してしまった人たちを、私はたくさん見てきました。

つまり、「いつやってくるかわからないチャンスを見逃さない」ために最も必要なことは、青年のような「地道な準備」に限ります。チャンスをつかむための地道な準備——その一つが「巻き込まれる」ことです。

「巻き込まれる」とは、「頼まれごとをされる」ということ。そこに、「仕事を選ぶ」という行為は存在しません。

頼まれたことを引き受けて巻き込まれ、地道に誠実に対応していると、評価や信頼が自分のもとに集まってきます。そして、その評価や信頼が、チャンスを自然と運んできてくれるわけです。

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