「やる気がないならやめなさい」は逆効果、“勉強や習い事”サボる子に効果的な声掛けとは?“やる気を引き出す”簡単な工夫も紹介

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(2)自己効力感の低下

自己効力感とは、アルバート・バンデューラが提唱した概念で、「特定の課題を遂行する能力があると自分で信じる程度」を指します。逆に、親や先生から否定され続け「自分はダメだ」と思い込んでいるケースが少なくありません。このことがあると(1)のどうせやってもダメにつながるケースもあります。

(3)比較による劣等感

他の子と比較されて劣等感を抱くことがあります。これは社会比較理論に基づいてさまざまなエビデンスがありますし、実感としてもあるのではないでしょうか。比較には2つあります。1つは上方比較(自分より優れた人との比較)といい劣等感を増大させます。もう1つは下方比較(自分より劣った人との比較)といい、自尊心を高めることが実証されています。しかし実際は、上方比較をして凹ませてしまうことが少なくありません。また、親や先生など他者からの比較のみならず、本人自身が他者と比較して自ら凹むケースもあります。

(4)承認欲求の不満

頑張っても誰にも認められない経験を重ねてしまうとやる気はなくなります。マズローの欲求階層説が有名ですが、4番目の承認欲求が満たされないと、5番目の「自己実現の欲求」は出てきません。つまり、短所是正、欠点指摘ばかりされた子には、あれをやりたい、これをやりたいという自己実現のために必要なやる気は出てこないことになります。

(5)過度なプレッシャー

期待が重すぎると、逃避したくなる傾向にあります。ストレス反応と心理的負荷に関する研究のエビデンスは豊富にあり、例えば、過度なストレスや慢性的なストレスは心理的影響を強め、パフォーマンスを低下させることが知られています。子どもの場合は、特に中学受験ではよく見られるケースです。

以上の状態は、子ども自身も自分の心理状態をうまく言語化できないことが多く、大人からは「怠けている」「甘えている」と見えてしまいがちです。特に最近よく聞く話では、自分の時代は気合根性努力でやったというマインドを持つ親が子どもに強制しトラブルになっているケースが少なくありません。

やる気は行動ではなく、「心の状態」のこと

では、どうすればやる気を引き出せるでしょうか。最も大切な考え方は、子どもの「やる気を出させよう」として無理に行動を促さず、心の状態を上向きにさせることを優先することです。やる気とは、外から押しつけられるものではなく、内面から自然に湧き上がる「心の状態」そのものだからです。

では、ここで例を挙げて説明していきます。

勉強や習い事をサボってばかりの子どもがいたとします。その子には「もっとやりなさい!」と行動を促すのではなく、内面的な気持ちを聞くことから始めていきます。

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