《震災から何を学んだか》通信インフラ--電源対策など一定程度進むが事業者でバラツキも
東日本の大部分で「つながらない」事態が発生、東日本大震災は通信インフラでも大きな障害を引き起こした。とりわけ特徴的だったのは、携帯電話へのダメージだ。
17年前の阪神・淡路大震災では携帯電話は普及しておらず、停電も数時間程度だった。固定電話の震災直後の通信量は最大で通常時の50倍に膨れ上がったため、通信障害が起こった。一方、まだ利用者が少なかった携帯電話は「つながりやすかった」と評価された。
だが、今や携帯電話の契約数は1億2000万件を突破、固定電話の3800万件を大きく引き離す。通信インフラの主役となって初めて迎えた大規模災害で、携帯電話の通信量は通常の60倍に達し、最大で9割もの通信量を規制する事態に追い込まれた。携帯電話の基地局は2万9000局が機能停止。首都圏では数日で正常化したが、東北の被災地では3カ月にわたって不通のままとなった地域もあった。
8割は電源喪失が原因 倒壊・津波は5%以下
意外にも、地震による倒壊や津波によって携帯基地局が機能不全となった比率は各社とも5%以下にとどまる。
今回の震災では被災地を中心に約800万世帯で停電が発生。基地局の機能停止の原因の約8割が停電による電源喪失だ。基地局は故障時に備えてバッテリーを搭載しているが、それも3時間程度しかもたない。一部設備にある自家発電も燃料切れで万事休すとなった。携帯事業者は「基地局や通信設備を再稼働させるための燃料の確保が最重要課題だった」と声をそろえる。