《震災から何を学んだか》通信インフラ--電源対策など一定程度進むが事業者でバラツキも

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孫正義社長が震災後、個人で100億円の寄付をすると公表して株を上げたが、ソフトバンクが災害対策室を新設したのは震災から3カ月を経た昨年6月。孫社長は「被災地を視察してインフラ事業者としての責務をあらためて感じた」と繰り返すが、競合2社の災害対策に比べ出遅れ感は否めない。

費用がかさむ通信設備の二重化は手つかずだ。基地局の電源喪失対策も、既存設備の強化でなく、今夏にサービスを開始する新周波数帯の基地局のみを対象としている。

一方、NTTドコモは通信設備の二重化だけで160億円を投入。通信障害の際に、故障した箇所を特定することができるネットワークの監視センターは従来、東京、大阪に分散させ二重化を行っていたが、さらに重要設備の分散を進めている。KDDI(au)も設備の監視機能を大阪に新設し、2拠点化を予定する。

通信業界の監督官庁である総務省も震災対策の強化を打ち出した。今年2月には携帯電話事業者に対して、災害時対策の提出義務化など、新方針を発表。停電対策を行った基地局のカバーエリアを利用者に対し公表するよう「見える化」も指導する。

事業者からの強い要望を受け、通信事業者に対する燃料の優先供給に関しても経済産業省と調整を始めた。「実際の復旧作業には他省庁との連携が必要だが、東日本大震災以前は総務省の守備範囲しか対象とせず、対策が行き詰まっていた」(通信事業者)が、今回は一歩前進した格好だ。

さらに、第3次補正予算で災害対策として151億円を計上。災害に強いネットワーク作りの研究も始めている。

その一つが、ケーブル切断時にも障害が起きない通信システムだ。携帯電話は端末から無線通信で基地局に接続するが、基地局から交換機を結ぶのは光ケーブルだ。それが切断されると、基地局が無傷でもその基地局がカバーする携帯端末は不通になってしまう。この場合、各社が講じている基地局の電源対策も機能しなくなる。

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