低迷つづく中日ドラゴンズ…往年のファンが懐かしむ「燃える男」星野仙一がいた時代の"熱血4大事件"

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頭を押さえてうずくまる宇野。ベンチへ戻りかけていた星野は一瞬、呆然と立ち尽くすも、慌ててバックアップのために本塁後方へ走る。その眼前を二塁走者の柳田真宏が駆け抜けていった……。

一躍「珍プレーの元祖」に

本塁まで走った打者走者の山本が刺殺されて同点は免れたが、連続得点試合記録を阻止できなかった星野はグラブをグラウンドに叩きつけた。その後、試合は両軍無得点のまま中日が2対1で勝利。

試合後に「あとでカラダ空けとけ!」と怒り狂う星野に対し、宇野は「空いてません」と必死に逃げたとする逸話もあるが、これはいくらか事実と異なる。

宇野はチームが勝利したこともあって、自身のエラーをさほど大事とはとらえておらず、この時は「星野からの食事の誘いを、たまたま上京していた実兄と先約があったために断っただけ」と認識していたという。

だが、このプレーが『プロ野球ニュース』で、みのもんたのナレーションにより「珍プレー」として放送されると、大反響を呼ぶ。

シーズン終了後に放送された特番『プロ野球珍プレー・好プレー大賞』では、宇野が"珍プレーの元祖"としてゲストに呼ばれることにもなった。

宇野ののほほんとした風貌や性格もあって、多くのファンたちはこのヘディング事件を「うかつなポカ」と受け止めていた。マスコミも同様で、翌日の巨人戦で宇野が本塁打を放つと「前の日にあんなことがあったのに、こいつは何も考えていないとか新聞に書かれてさぁ」と宇野本人はこぼしている。

実際のところ、このエラーは、スパイクの歯が人工芝に引っ掛かりそうになったことが原因だったという。

現在、人工芝の球場では樹脂製のスタッドを付けられたシューズが用いられることが多いが、当時の選手たちは土のグラウンドと同じ金属の歯が付いたスパイクを使用しており、それが招いた「事故」だったのだ。

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