「フェリー? 雑魚寝でツラそうだし、ごはんも微妙でしょ」→それ間違いです! 実は最高「フェリー船内グルメ」の多様な楽しみ方

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特に「さんふらわあカレー」はスパイシーで奥深いコクが人々の印象に残りやすく、レトルト商品にもなっている。レストランで食べた味に魅了されたあげく、下船間際に売店で「これでもか!」とばかりに、「さんふらわあカレー・レトルト」をまとめ買いをする人までいるほどだ。

また、新潟県・佐渡島から「佐渡汽船」に乗船して新潟港・新潟市内に向かう道すがらでは、佐渡島の形をしたごはんがルーの上に載った「佐渡汽船カレー」(船内提供)、とろみが強めの佐渡汽船・新潟フェリーターミナル待合室「しおさい」カレー、通称「黄色カレー」と呼ばれる独特な色合いの「万代シティバスセンター内『万代そば』カレー」と、3カ所で名物カレーが味わえたりする。

いずれも、見かけも味もまったく違うのに、3皿とも後を引く旨さで、それぞれ絶品! ただ、多くの人々の胃袋は「カレーを3皿連続で食べる」ことに慣れていないせいか、3軒連続で食べる人は少なく、フェリーターミナルのカレーを試す人がそれほどいないのも納得。

人けのない船内にズラリ!侮れない「フェリー自販機グルメ」

 

オーシャン東九フェリー「フェリーりつりん」(筆者撮影)

自販機
オーシャン東九フェリーの自販機(筆者撮影)
ホット助六とカップ麺
冷凍助六寿司「ホット助六」とカップ麺。海を見ながら最高のごちそうだ(筆者撮影)

最後は、ちょっと変わり種な「フェリーの自販機グルメ」を紹介したい。

東京・有明埠頭と福岡・新門司港を結ぶ「オーシャン東九フェリー」は、ほぼ同ルートの「東京九州フェリー」が21時間で到達するところを、約35時間もかけて結ぶ。

収益の大半を貨物で挙げていることもあってか、トラックドライバーがちらほら歩いているくらいで、船内に人影はほぼない。観光要素がまるでない船内は「カジュアルフェリー」としてサービスが最大限にカットされ、食堂はレストランでなく、自販機が数台並ぶ……これがいい!!

冷凍された状態で販売されるカツ丼や丼物、熱々の「ホット助六」(解凍型の助六寿司)、うどんやパスタ、おかず類など、数十種類のラインナップから選び放題。業務用レンジで数分解凍して、海を眺めながら食べる”ぼっち飯”の美味しさ、誰とも目を合わせずに黙々と食べる解放感は、格別なものがある。

また「オーシャン東九フェリー」は、むかしから食事の価格が地上と同程度に抑えられており、丼やうどんはだいたい500円~600円台。フェリーの船内だとお菓子1個ですら数百円取られることもあるなかで、オーシャン東九フェリーの滞在費・食事代の安さは、他の追随を許さない。

そのかわりに、携帯の電波はほぼ通じない。自販機メシを食べて海を眺めて寝て、また食べて海を眺めて寝て……船内で自販機グルメと、デジタル・デトックスを楽しむのもいいだろう。

【もっと読む】「雑魚寝でしんどい」→「個室で快適に!」 いつの間にか大進化を遂げたフェリー。「ホテル並みの快適さなのにコスパ良好」な”実態” では、かつてのイメージを払拭し、快適に過ごせるように変わりつつあるフェリーの実態を、乗り物に詳しいライターの宮武和多哉さんが詳細に解説している。 
宮武 和多哉 ライター

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みやたけ わたや / Wataya Miyatake

バス・鉄道・クルマ・駅そば・高速道路・都市計画・MaaSなど、「動いて乗れるモノ、ヒトが動く場所」を多岐にわたって追うライター。政令指定都市20市・中核市62市の“朝渋滞・ラッシュアワー”体験など、現地に足を運んで体験してから書く。3世代・8人家族で、高齢化とともに生じる交通問題・介護にリアルに対処中。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅(既刊2巻・イカロス出版)など

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