不機嫌ハラスメント=「フキハラ」は職場にも家庭にも。「ただテンション低いだけ」でもフキハラ認定? "不機嫌さん"に見えるかチェック

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そして、怒りやイライラなどの感情が表出しているわけですから、相手からのシグナルということになります。もしかすると相手はそれを出すことで言うことを聞かせようとしているのかもしれないし、こちらの行動を変えさせようとしているのかもしれません。そういう理不尽なフキハラを受け入れてしまったら相手の思うツボです。

フキハラをしてもこちらが動じないとなれば、相手も戦略を変えてくるでしょう。ただ、なかには本当に何も考えず、動物的に不機嫌な態度をとる人もいます。

怒りのコントロールができない相手の場合、こちらの言動を理解しようともしていないことが少なくありませんし、こちらがどれくらい嫌なのか、つらいのかをはっきり伝えないと気づかない可能性もあります。

嫌なことがあるとすぐ態度に出しちゃう人って、それによって相手がどれだけしんどい思いをしているかまで頭が回っていない可能性がありますから。

精神的DVにもなるパターンも

とはいえ、家族を無視して口をきかないというのは、場合によっては「精神的DV(ドメスティックバイオレンス)」にもなります。「フキハラ」というと言葉が軽くなり、何でも「フキハラ」で片づけられてしまいがちですが、無視したり、舌打ちしたり、怒鳴ったりというのはフキハラというより精神的DVでしょう。

嫌な気持ちにメンタルをやられない 不機嫌を飼いならそう
『嫌な気持ちにメンタルをやられない 不機嫌を飼いならそう』(主婦の友社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

そうなると難しいのは、「じゃあ、どうする?」ということ。法でとがめることができるかというと、そうはできない人が多いという残念な現実があります。

家族として共同体生活が成り立たないような相手であれば、本当は一緒にいること自体が間違いなわけですが、そこで離婚できるかというと離婚できない人が多いのも現実だと思います。

でも、どんなひどいことをしているのか相手が本当にわかっていない、事の重大さに気づいていない場合もあるので、伝えられるならしっかり伝えていくことは大切です。

またそういった行動は、自分には大切にされる価値があるということを再確認することにもつながります。伝える際に大事なのは、自分を主語にすること。相手を主語にして「あなたはこうです」と責め立てると、相手は「そんなことない」と、ますます怒ってしまうでしょう。

だから自分を主語にして「私はつらい」「私はこう思っています」、それだけをしっかり伝えるに限ります。

まとめ:フキハラをする本人を主語にして責めるのではなく、「私はこう思っている」と自分を主語にして伝えましょう
藤野 智哉 精神科医

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ふじの ともや / Tomoya Fujino

1991年生まれ。精神科医。産業医。公認心理師。秋田大学医学部卒業。幼少期に罹患した川崎病が原因で心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。学生時代から激しい運動を制限されるなどの葛藤と闘うなかで、医者の道を志す。精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味を持ち、現在は精神神経科勤務のかたわら、医療刑務所の医師としても勤務。 障害とともに生きることで学んできた考え方と精神科医としての知見を発信。著書に『「自分に生まれてよかった」と思えるようになる本』(幻冬舎)『自分を幸せにする「いい加減」の処方せん』(ワニブックス)、『精神科医が教える 生きるのがラクになる脱力レッスン』(三笠書房)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事