「もっちゅりん買えない」「ドーナツじゃなくて“ミスド”がいい」何度ドーナツ戦国時代を迎えても、日本人が結局《ミスド》に戻ってくるワケ

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2006年に上陸し、一大ブームを築いた「クリスピー・クリーム・ドーナツ」も、当初は行列ができるほどの人気だったが、ブームが過ぎると業績は低迷、2015年には大量閉店を余儀なくされた。

現在は復活を果たしているが、やはり日本人のニーズに寄り添った改善を行うことによって、それを成し遂げている。

「ドーナツではなくミスド」を日本人は求めている

最近も第5次、第6次ドーナツブームと言われ、生ドーナツが流行ったり、アメリカの人気ドーナツ店が上陸したりしている。しかし、他社の苦戦を見ていると、(アメリカ的な)ドーナツは日本では成功できないのではないか。

ミスドが成功したのは、ドーナツであってドーナツではない、唯一無二のポジションを築くことに成功したからだ。

「牛丼ではなく吉野家」「ラーメンではなく二郎」という言い方をすることがあるが、ミスドの商品は「ドーナツではなくミスド」と言ってよいのではないだろうか。少なくとも、昨今のミスドの商品はそのポジションを獲得することに成功しているように見える。

「もっちゅりん」の成功は華々しいが、決して一朝一夕に生まれたものではなく、これまでの試行錯誤による賜物であるように筆者には思える。

商品展開以外にも、ミスドは一部店舗で食べ放題の「ドーナツビュッフェ」を展開し、好評を博している。

今年3月には、朝ドラ『あんぱん』のヒロインを務める人気女優の今田美桜さんがブランドアンバサダーに就任し、「もっちゅりん」を含む、各種の広告に登場している。

ミスド
出演する朝ドラが好調の今田美桜さんを起用したポスター(写真:大関まなみ)

いつの間にか、ミスドは「マーケティング力に優れた事業者」の位置を確立しているのだ。「もっちゅりん」に限らず、今後もミスドは魅力的な商品やサービスを生み出してくれるに違いないと筆者は期待をしている。

まずは「もっちゅりん」を定番メニュー化して、気軽に買いやすくしてもらえることから始めていただきたいと思うが……。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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