目玉は参政党、石破首相はなぜ兵庫県に? 各党党首の「第一声」から見えてきた参院選"序盤"の勢力図

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すくすくと伸びた稲が揺れる水田を背に、野田氏は「令和のコメ騒動の震源地は宮崎」と述べて、宮崎県出身の江藤拓前農林水産相を揶揄するとともに、「裏金問題を忘れてはいけない」とも主張。「今回の自民党のライバルは、まさに当事者だ」と、同選挙区で立候補し116万円の裏金問題を抱える長峯誠氏を糾弾した。

日本共産党の田村智子委員長は池袋で、社民党の福島みずほ代表は新宿で第一声を発した。政党要件(所属する国会議員5人以上、もしくは国政選挙で全国を通して2%以上の得票)を懸けた戦いに、社民党はタレントのラサール石井氏を擁立した。

玉木代表は山尾氏を避けて都心部に重点?

また、大阪府選挙区では歌手の世良公則氏が立候補を表明。高市早苗前経済安全保障担当相と動画で共演するなど、保守的な言動で知られる世良氏だが、国民民主党との接点も少なくない。世良氏は「103万円の壁」をめぐる幹事長合意を守らない自民党をX(旧ツイッター)で批判し、東京にある玉木事務所には複数回訪問している。

そして、知名度では石井氏や世良氏に劣らない山尾氏も、東京都選挙区で出馬した。第一声は地元の吉祥寺で行い、「結党時に誓い合った国民民主党ですら、選挙を前にしたら右旋回から逃れられないという状況を中から見ました」と古巣を批判。7月5日には都心に進出し、漫画家の小林よしのり氏の応援を得て、新宿や有楽町で街宣した。いわば、自分を捨てた国民民主党への殴り込みかもしれない。

一方の国民民主党の玉木代表の都内での演説は、3日にはJR山手線の駅前12カ所で行われたほか、5日夕方にはJR上野駅前、6日には武蔵小山、戸越銀座、豊洲、水道橋、お茶の水と、(山尾氏の拠点がある)多摩地区をあえて避けている印象だ。東京に重点を置くのは、「山尾騒動」前の勢いに任せて擁立した候補者2人をなんとか当選させたいとの思惑だろう。

3年前の参院選で比例区8議席、選挙区4議席の12議席を獲得し、比例票では野党でトップを占めた日本維新の会は、今回は元気がない。それでも「社会保障費の負担減」を主張し、戦っている。東京では6年前と同じく、音喜多駿氏と柳ヶ瀬裕文氏がタッグを組み、選挙戦を展開。2017~2022年に東京維新の会の事務局長を務め、「選挙の神様」と言われた藤川晋之助氏が不在の今、本当の実力が試されているのかもしれない。

その他、再生の道やチームみらいが参戦している参院選だが、世界が大きく変わろうとしている現在、既存のしがらみにとらわれない新しい勢力がどのような未来を描き、何を訴えるのかについてはぜひ注目したい。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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