さらにハイテク設備の導入、工場建設、新技術の開発などを含む政府から得た補助金が、2024年は142億元にのぼり、そのうち、37億元(利益額全体の9.2%に相当)が収益として記入されている。
BYDの完成車工場は現在、中国全土に10カ所あるが、建設中の海外工場を加えれば、2026年の自動車生産能力は600万台/年に達するだろう。
「サプライヤーへの値引き要請は強制ではなく、価格交渉の余地がある」
BYDでブランド・広報部門の責任者を務める李雲飛(リー・ユンフェイ)氏はそう話すものの、販売台数を増やし世界シェアを伸ばしてゆくBYDが、必死に販路を確保しようとするサプライヤーに対して優位な立場にあることは明確だ。
中国経済全体が低迷している中で
一方で、中国経済全体が減速しており、新車需要に陰りが見られている事実もある。
競合企業や業界団体から値引きに対する反発が相次ぎ、価格破壊を得意とするBYDへの風当たりは強くなる一方だ。
これまで通りの規模での経済・値下げ競争によるコスパ主導型成長が、転換点に差しかかっていることは間違いない。
今後は過当競争を回避し、大衆車ブランドの品質向上と中高級車ブランドの差別化を図りながら、海外市場にも注力せざるをえなくなるだろう。

実際、BYDの海外販売台数は、2024年に41.7万(前年比71.9%増)、2025年1~5月には37.4万台(同112%増)と高い伸びを示した。
どれだけ海外市場での競争力を向上させられるかが、「量と質」の両面で成長するうえで重要な課題となる。
かかる中、販売台数を見据えたサプライヤーからの部品の確保により、BYDの在庫金額は2023年末に877億元、2024年末に1160億元、2025年3月末には1544億元に達した。
BYDが現在の規模と勢いを維持できなければ、経営への影響は巨大な生産体制を支えるサプライヤーまで波及していくリスクがある。
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