BYDは崩壊した「恒大集団=不動産大手」の二の舞いになるか? 利益と引き換え価格競争で拡大してきたビジネスモデルの行く末

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不動産業界では、土地の担保から消費者の頭金まで、レバレッジをかけることがビジネスモデルになっているが、自動車業界には適用しにくい側面がある。

恒大集団とBYDはビジネスモデルも業種も異なるため、比較対象にはならないといえよう。

長城汽車会長が出した警告の意味

とはいえ、「企業の信用力に依存する取引慣習がもたらすインパクトは大きい」と長城汽車会長が発言するように、中国の自動車メーカーには、長期的な視点で品質・サービスに立った経営が迫られている。

長城汽車のピックアップトラック「POER Sahar」(筆者撮影)
長城汽車のピックアップトラック「POER Sahar」(筆者撮影)

ここで懸念されるのは、自動車メーカーのデフォルトをきっかけとして、これまで潜んでいたリスクの表面化により、サプライチェーンの崩壊が起こることだ。

特に新興EVメーカーは、政策を追い風に返済能力を超えた融資や設備投資を行い、財務コストをサプライヤーに転嫁している状況にある。

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実際、2024年には、ネット検索大手百度(バイドゥ)が出資する極越汽車(ジーユェ)、一時期の販売台数で新興勢トップだった哪吒汽車(ネタ、会社名ホゾン)を含む新興10数社が経営難に陥り、うち1社が破綻したことにより、関連サプライヤー37社が18億元の貸倒引当金を計上した(長城汽車会長より)。

企業乱立と各社の経営状況を勘案すれば、長城汽車会長の警告は、地方政府やファンドの支援する新興勢への批判が、色濃くにじむ内容となりそうだ。

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湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

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タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日本・中国自動車業界の知見を活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。中央大学兼任教員、専修大学客員研究員を歴任。『2040 中国自動車が世界を席巻する日-BYD、CATLの脅威』(日本経済新聞出版、2025年)、『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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