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中国の民営自動車大手のBYD(比亜迪)は2月10日、同社製のEV(電気自動車)とPHV(プラグインハイブリッド車)のほとんどに、車両価格を据え置きながら先進運転支援システム(ADAS)を追加すると発表した。
「メーカー希望価格が10万元(約208万円)以上の車種にはADASを標準装備し、10万元未満でも多くの車種に搭載したい」
BYDの創業者で董事長(会長に相当)を務める王伝福氏は、同日開催したイベントでそう述べ、低価格車へのADAS普及に強い意欲を示した。
「現在はADAS関連の(ハードウェアやソフトウェアの)供給能力がまだ不足している。供給能力を引き上げれば、10万元未満の車種にも搭載を広げられるだろう」(王氏)
「予想を超えるものを出す」
BYDは中国自動車市場のEV・PHVシフトの流れをいち早くつかみ、数年前から販売を急拡大させてきた。その結果、中国市場での2024年の販売台数は約427万台に達し、国有自動車大手の上海汽車集団(約401万台)を抜いて初の首位に躍り出た。
とはいえ、BYDが得意とする15万元(約312万円)未満の大衆車やコンパクトカーでは、コスト面の制約からADASを搭載する車種はほとんどない。そのため業界関係者の間では、BYDはクルマのスマート化の面では出遅れているという見方が少なくなかった。
しかし今回のイベントで、王氏は上述の見方を「誤解」だと一蹴し、次のように強調した。
「BYDは一貫して技術を磨き、(実用化前には)大言壮語しないのが流儀だ。未成熟の技術はあえて世に出さず、いざ導入する時には予想を超えるものを出す」
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