巨額買収が誤算の日本板硝子、東電並みの格付けに
世界大手のガラスメーカー、日本板硝子に対する格下げが相次いでいる。中でも、ムーディーズ・ジャパンは3月12日、グループ全体の格付けを「Ba3」とした。これは東京電力と同じだ。
日本板硝子の2012年3月期は、最終損益が30億円の赤字となる見通し。自動車用や建築用など売上高の約4割を占める欧州での販売が債務危機で失速し、成長分野と期待した太陽電池用ガラスも需要が急減している。
ムーディーズの臼井規シニア・アナリストは「海外で太陽光発電向けガラスの伸びが鈍化しているように、成長シナリオの不透明感は強い。負債比率が高いので、欧州中心に既存事業の低迷が長引くと、メインバンクの三井住友銀行の融資姿勢が従来どおり友好的に行われなくなるかもしれない」と格下げの理由を説明する。
日本板硝子は、06年に売り上げ規模2倍で同業の英ピルキントンを総額6000億円超で子会社化。「小が大をのむ買収」と注目を集めた。
08年にはピルキントンの社長を務めていたスチュアート・チェンバース氏を日本板硝子の社長兼CEOに昇格させ、日本国内中心のビジネスから中国や南米など世界約30カ国に幅広く展開するグローバル企業へと転換を図ってきた。現在も米化学大手デュポン出身のクレイグ・ネイラー氏が社長を務める。