「私、オルカン派だから大丈夫!」 気づけば広がっていた「オルカンはリスクが低い説」はいったいどれだけ正しいか
いずれにしても、株式指数に連動する商品であるため、オルカンはリスクが低いという話には、選択肢が「オルカンとS&P500の二択の場合」という前提が必要です。オルカンは年間に20~40%程度の価格変 動(リスクの2倍)を許容したうえで投資すべき投資対象ということができます。
オルカンのリスクが低いならS&P500もリスクは低い
「オルカンはリスクが低い説」は、積立投資に原因がありそうです。積立投資は購入時期を分散することで、投資対象をまとめて高値掴みしてしまうことを避け、購入単価をならす効果があります(投資理論において時間分散の有効性は議論の余地があるとはされていますが)。
ただ、個人的には時間分散はリスクを下げているように「見せるだけ」ではないか考えています。
投資対象がオルカンであれ、S&P500であれ、リスクの大きさ(数値)はすでに示した通りです。
積立投資は①今月買ったオルカン、②昨年買ったオルカン、③10年前に買ったオルカン、など小さなオルカンの塊が毎月増えていくため、個々の塊ごとに見れば株式市場の成長とともに価格が増加しますが、最近購入した分は増えていないため、市場の値動きに比べて、リターンが少なく見えるという現象が発生します。
そして、価格変動も抑えられるように見えます。実際は、個々の塊にとっての価格変動は変わっていないのですが、大きな塊になってしまうと価格変動が小さく見えるのです。
そのため、積立投資であれば、オルカンであれS&P500であれリターンもリスクも低く見えるということになります。
ですから、「オルカンはS&P500より相対的にリスクが小さい」「積立投資は時間分散によりリスク低減効果がある」という2つの考えが、かけ合わさって「オルカンを積み立てるとリスクが低くなる」という理解がされているようです。危険な理解の仕方だと、個人的に感じます。
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