前の妻とも結婚相談所で出会ったのだが、彼女は、結婚後も毎晩母親と電話をし、何かあるとすぐに実家に相談をしていた。また、初めて2人で過ごした夜に、のりおが体の関係を求めると、「こういうことには慣れていない」と言われ、涙ぐまれた。
“そのうち慣れていくだろう”と高を括っていたが、慣れるどころか、「寝室も別にしてほしい」と言ってきた。不安なまま新婚生活がスタートしたのだが、まったく関係を持とうとしない元妻に、ある日、しびれを切らしたのりおが大声を出した。
「いったいどうなっているんだ! いい加減にしてくれよ」
その言葉を最後に彼女は家を飛び出し、実家に帰り、その後にサイン済みの離婚届が届いた。
それから2年が経ち、ようやく気持ちの整理をつけて、筆者の相談所での婚活を再び始めた。そして、いくつかのお見合いを経て、ひな(34歳、仮名)と出会い、順調な交際を続けていた。
今回はうまくいくかも…
ひなは自立していて明るく、人の気持ちに寄り添える女性だった。2人は自然な流れで真剣交際へと進み、のりおも「今回はうまくいくかもしれない」と感じていた。
だが、時間が経つにつれて、のりおの中で、あの過去がじわじわと思い出されてきた。
「自分が触れたとき、嫌な顔をされたらどうしよう……」
「ひなちゃんはお母さんと仲が良いみたいだから、結婚したらなんでも実家に相談するのかな」
考えるほどに過去の失敗が蘇り、自分が本当にひなのことが好きなのか、このまま結婚してもよいのかがわからなくなっていった。次第に表情も暗くなり、デートをしても笑えなくなった。
筆者に何度も相談を持ちかけてきたのだが、結婚の話を前に進めようとする顔がとてもつらそうだった。
そんな日々が続いていたあるとき、ひなから「交際は終了にしましょう」と言われた。
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