「真剣交際に入ってからというもの、私と会っていても楽しそうじゃない。それに結婚を今決められない人は、きっと1年たっても2年たっても決められないと思う。私は、時間を無駄にしたくない」
のりおは、あわてて筆者に相談してきた。
「もう一度、ひなさんの相談室に掛け合ってもらえませんか?」
失ってみて、ひなの存在の大きさを再確認したのだ。しかし、一旦“結婚をやめる”という覚悟を決めたひなの気持ちは、戻ることはなかった。
覚悟を決めた人に心は動く
たつや(41歳、仮名)は、婚活4年目の会社員だ。見た目も性格も悪くないが、いつもあれこれと考えすぎて、「あと一歩」が踏み出せずにいた。それが、彼の婚活を長引かせていた。
そんなたつやが、さえ(37歳、仮名)と出会い、順調に関係を育んでいた。さえは4歳の娘を育てるシングルマザーだったが、これまでお見合いで出会ってきたどの女性よりも、“人を受け入れる懐の深さ”を、たつやに感じさせていた。
しかし、真剣交際に進もうか考えるようになると、たつやにさまざまな不安がよぎるようになった。
「さえさんの前の夫は、今も娘さんとよく会っているのかな?」
「結婚しても、さえさんと前の夫は会うのかな?」
「子どもを育てるのに、どのくらいのお金がかかるんだろう」
「ほかの男性との間にできた子の父親になる覚悟が、自分にはあるのだろうか?」
次々に浮かんでくる不安の答えは出ることがなく、頭の中で堂々巡りをしていた。そして、1カ月が過ぎようとしていたある日、さえの相談所から、“交際終了”の連絡が入った。
さえの仲人は、言った。
「たつやさんのことも大切に思っていたようですが、最終的に、別の方と真剣交際に進む決心をしました。その男性が、『僕に、あなたと娘さんの人生を支えさせてください』とおっしゃってくださり、その言葉に心が動いたようです」
このことを伝えると、たつやは大きなため息をついた。彼が悩んでいる間に、さえが選んだのは、家族を作る覚悟を決めた男性だったのだ。
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