まさえ(37歳、仮名)は、2人の男性と仮交際をしていた。1人は小太りで見た目はタイプではないが、上場企業勤務・年収900万円のとしお(41歳、仮名)。もう1人は背が高く、ハンサムで清潔感もあるが、年収500万円のたかし(39歳、仮名)。
「もし結婚したら?」と想像してみると、現実的な生活設計ができそうなのは、やはりとしおだった。貯蓄、住宅、子育て……。安心を与えてくれる収入は、なにより心強い。だが、彼と夫婦として肌を重ねる未来が想像できず、その一点がずっとひっかかっていた。
対して、たかしは一緒にいると気持ちが浮き立った。
笑顔、仕草、声……どれも心地よく、女性として求められている実感があった。ただ、収入面での不安はぬぐえなかった。結婚後の生活が成り立つのか? 子どもを望めるのか? 思考はいつもぐるぐると巡った。
二兎を追う者は一兎をも得ず
どちらも決めきれず、答えを出せないまま交際を続けていたところ、思いがけない連絡が、としおの相談室から届いた。
「ほかの女性と真剣交際に進むことになりましたので、交際終了をさせてください」
その瞬間、まさえの中で何かがすとんと落ちた。後悔なのか安心なのかはわからなかったが、「もう迷わなくていい」と心が軽くなった。そして、次のデートでたかしに「交際を前に進めたい」という気持ちを伝えようと思った。
そう決めていた矢先に、今度はたかしの相談所から、“交際終了”の連絡が来た。終了理由は、こうだった。
「一緒にいて楽しい時間は過ごせるのですが、お金の使い方の価値観が合わないと思ったようです」
“情報通の自分”をアピールすれば、たかしに気に入ってもらえると思い、インスタで話題のレストランを探しては、デートで訪れることを毎回のように提案していた。でも、それが彼にとっては、金銭的な負担になっていたのだろう。
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