J.フロント、「爆買い」牽引に死角はないか 10月上旬、国慶節の免税販売はどうだった?
訪日中国人の爆買いに関しても、将来を懸念する声が一部で聞かれる。会見でも、「中国景気の減速によりインバウンド消費が失速するのではないか」、という質問が出た。
ただ、9月以降も免税品売り上げは順調で、今のところ失速の兆しは見えていない。中国の連続休日である国慶節(10月1~7日)は多数の中国人が来店。前年の同期間と比べ、大丸と松坂屋の免税品売り上げ合計は、1.9倍に伸びた。前年は10月から免税対象が消耗品(食品、飲料、薬品、化粧品など)まで広がり、爆買いが始まるきっかけとなっただけに、前年超えのハードルは高かったが、難なくクリアした格好だ。
免税品売り上げが好調な大丸心斎橋店の本館(面積シェア4割)は、老朽化が進んだことから2015年末で営業を終了し、2020年の東京五輪前までに建て替える予定。北館と南館は従来通り営業を継続するが、売り場面積縮小に伴うマイナス影響は避けられそうもない。もっとも、同店は外商の売り上げ比率が30%と高く、外商に関しては売り場面積縮小の影響はほとんどないと見てよい。また、南館を訪日客向けの商品やサービスを中心にした構成に改装するなど、免税品販売の拠点とすることで下支えを図る。
銀座で一大プロジェクトが進行中
国内の商業地で最高のステータスを誇る銀座中央通り沿いの銀座6丁目では、一大プロジェクトが進行中だ。2016年11月にも旧松坂屋銀座店の跡地を含む、2街区・9080平方メートルの敷地に、高さ56メートル、延べ床面積約14万7900平方メートルという、銀座エリア最大級の複合施設が竣工する。
事業者は、J. フロントを含む森ビル、住友商事、L Real Estate(仏LVMH系の不動産ファンド)の4社。上層階はオフィス、下層階は延べ床面積約4万6000平方メートルの商業ゾーンとなる。年間の入館目標人数は2000万人。うち外国人は開業当初で15%程度と想定している。
子会社パルコの渋谷店も再開発する予定で(工期は2017年3月~2019年9月)、東京五輪前までビックプロジェクトが目白押し。そこまでは成長が継続する可能性は高いといえそうだ。
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