恵比寿は臨戦態勢の28歳OLが選ぶ街だった 女として準備万端な女性が行き交う街
だけど、今まで好きだった庶民的なところが、何だか居心地が悪くなってきたの。
25歳頃からね、広告代理店の男性や、一流総合商社勤務の男性と合コンの機会が増えてきて。そのときに「どこに住んでるの?」って必ず聞かれるじゃない? 「三茶」って言った時の男性の「へー(笑)」っていう語尾の含み笑い。それがすごい嫌になって……。
それなりに私、「東京の女」が板についてきたのに、三茶って「生活臭」がしすぎるみたい。
1K、家賃13万円、徒歩7分のマンション
引っ越しを考えたときに、「恵比寿にしよう」って即決だった。1K、家賃13万円、徒歩7分のマンション。
恵比寿ガーデンプレイスの優雅なアプローチ、奥に鎮座するお城みたいな『ジョエル・ロブション』、ウエスティンホテル東京、駒沢通りのにぎやかさ、三田通りの落ち着き……上京してきたときに、感じた華やかな街という印象が心を捉えているんだよね。
歩いている人も、三茶とは違う。ちゃんと、女として準備万端っていうか、いつ脱いでも恥ずかしくないように体も身だしなみもオールOKって女性が多い気がする。残念ながら、三茶の女性は、「あ……今日脱げない……」って日が結構ある感じ(笑)。
実は、ここに越してきたのはもう一つ理由があってね、恵比寿は2年前に1年間付き合った人の地元だったの。私にとったら高嶺の花みたいな、すごいキラキラした広告代理店の人。まさか付き合えるなんて思わなかった。
彼が13歳の頃、ガーデンプレイスができて、ウエスティン東京ができて、街の雰囲気が一変したって言ってた。彼の中学生の彼女との初デートも、恵比寿ガーデンプレイスの映画館だったんだって。そんな昔から、この街を知ってるんだって、彼はここで青春を送ったんだなって思ったら、その彼女に嫉妬したのか、そんな彼の生い立ちに嫉妬したのかわからないけど、すごく羨ましかった。