自民党のホープを待つのは鬼か玉座か、"鬼門ポスト"就任の小泉農水相が挑む「コメ問題」の先に待つ《総裁への試金石》

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関係者によると、江藤氏の農水相辞任と小泉氏の後任起用は、20日深夜に石破首相と森山裕幹事長ら自民党執行部の協議で固まり、21日朝の江藤氏の辞表提出・受理→小泉氏の後任起用は「事前に決めた手順どおりに進んだ」とされる。

21日午後3時から今国会では初の党首討論が実施されるため、「その前に農相更迭を決めることで、党首討論での追及を交わす狙い」(自民党幹部)があったのは間違いない。これにより、党首討論は政府が16日にようやく国会提出した年金改革法案が主要テーマとなり、「江藤失言問題は過去形の議論」となったのは自民党の思惑どおりに映る。

ただ、いったんは江藤氏の続投を決めた石破首相の二転三転ぶりには与党内から反発が相次いでおり、「さらなる求心力低下につながる」(同)ことは避けられない。しかも小泉氏は、党農林部会長時代に華々しく打ち上げた「農協改革」が、党内の農林族の反対によって尻すぼみに終わった“過去”がある。

21日の党首討論では、国民民主党の玉木雄一郎代表が「コメ価格が3000円台に下がらなければ責任をとるか」と迫ったのに対して、石破首相も「当然責任はある」と啖呵を切った。石破首相の期待に小泉氏が応えられるかどうかは、なお不透明と言わざるをえない。

「農民票」と「国民の評価」、農水族はどちらに動くか

小泉新農相は21日午後の就任会見で、「いま最も力を入れなければいけないのはコメ。とにかくもうコメに尽きる」とコメ価格対策に最優先で取り組む考えを繰り返した。

これに関連して、石破首相は21日午後に政府備蓄米の売り渡し方法を一般競争入札から随意契約に変更するよう小泉氏に指示し、小泉氏も具体化を急ぐ考えを示した。ただ、備蓄米が消費者に十分に行き届き、店頭価格を早期に下落へ転じさせられるかは、極めて不透明だ。

そうした中で農政関係者が注目したのが、今回の小泉氏農相起用の背景に、自民党農林族のドンとされる森山幹事長の後押しがあったことだ。

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