就任1年で優勝、ヤクルト真中監督の采配術 「3本の矢」は、なぜ成功したのか

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こうした発想ができた根幹には、投打のバランスへの意識があった。

「2、3点はどうしても取られる。その中で1番の出塁に対してバントして簡単に1アウトを与えたくない。こちらも2点、3点を取る攻撃をしたかった」

真中監督は高津、伊藤の両投手コーチ、野村バッテリーコーチにも聞いている。「初回、無死一塁。バントで送ることをどう思うか」と。

選手との距離感を保った理由

投手コーチの答えは「打ってくるほうがイヤ」というものだった。投手陣は救援陣の支えを得る一方で、打線からの加護も得た。「1点取られても次の1点を抑えていけば、打線が何とかしてくれるという空気が生まれた」と真中監督。投手の粘り強さと守備の粘り強さ。歯車がかみ合っていった。

真中監督はシーズン中、選手と食事には行かなかった。昨年オフには「オレに年賀状を出すな」とも選手に伝えていた。理由は二つある。一つは無駄を省き、その時間を自分のために充ててほしいとの思い。

「監督、コーチが見ているからいいところを見せようと思わなくていい」

もう一つは、選手と選手の家族の生活を背負い「起用一つで生活が変わる可能性がある」立場だからこそ、距離感を保ちたかったから。采配では非情もつきまとう。監督として孤独になることを恐れなかった。44歳。なかなかできる芸当ではない。

「できない理由を探すな」

指揮官の座右の銘である。自分で考え抜き、実践し、結果を受け止める。この繰り返しを続けるだけ。できない理由を探して思考を止めれば成長は止まる。日本一、来季のリーグ2連覇へ。歩みを止めるつもりはない。

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