なぜ原監督は「非情な決断」ができるのか セ・リーグ3連覇は「過去の話」

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ピンチで声をかけにいく原監督(2014年)。今年は「キャッチャー阿部」と語る光景は、もう見られそうもない(読売新聞/アフロ)

巨人キャンプを訪れると、背番号「88」はブルペンにいた。原辰徳監督は、ファン、メディアが見守る中で投球練習をする宮国椋丞(りょうすけ)投手に向かって、大きな声を張り上げた。

「巨人のサラブレッド」が賭けに出た

「さぁ、椋丞、独り舞台だ。みなさんにいいところをみせてやれ!」

チームは先発陣に不安を残している。2人の新外国人投手を獲得したが、日本式の野球に対応できるか否かは未知数。原監督のゲキは伸び悩む若手右腕への期待の表れだが、〝原流〟のエンターテイナーぶりに触れたようなシーンでもあった。

最近の球界では、サラリーマン世界における「地味な中間管理職」タイプがトップに就く傾向が色濃くなっている。昨シーズン限りで退任した広島野村、ヤクルト小川両監督を含め、阪神和田、広島緒方、日本ハム栗山、ヤクルト真中各監督らは、いずれも現役時代の実績はあってもスター性には欠けた人材だ。

米マイナーリーグでは、コーチ、監督を10年以上も経験してから、最終的にMLB監督に昇格するパターンが目立っているため、これも日本球界の〝メジャー化〟の1つといえるのかもしれない。

その点、原監督の場合は名実ともに申し分がない。監督生活11年間で7度のセ・リーグ優勝、3度の日本一。巨人のサラブレッドとして「名選手名監督にあらず」のフレーズを覆してきたかのようだ。

その原監督が大シャッフルに出た。

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