中身は「パーの見方」で、タイトルは「バカの見方」で! "ぷよぷよの父"が見つけた《売れる商品の名付け方》

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『君のいいとこ知ってるよ』(左)は2024年インディーズ作品。いいところカードを3枚、ひとりだけ4枚持っていて、多い1枚を誰かに渡し、渡されて4枚になった人がまた誰かに1枚渡す。これを続けて、カードがそろったら上がり。全員が上がるとクリアという協力ゲーム。『うんちん雀』(右)もタイトルから考えたゲーム。「うんこ」「ちんこ」みたいな小学生が喜びそうな言葉をつい言ってしまうゲームはできないかという発想で『うんとちん』というタイトルが浮かんだ
累計販売本数は2700万本超、1990年代に一世を風靡し現在まで長く楽しまれている落ち物パズルゲームの名作『ぷよぷよ』を開発した、ゲームクリエイターの米光一成さん。同作以外にも、累計120万部超『はぁって言うゲーム』や、日本ボードゲーム大賞2024・投票部門大賞の『あいうえバトル』を手がけてきた。「面白さ」で日本中を動かしてきたゲーム作家は、どんな発想で商品を作ってきたのか。米光さんの著書『ゲーム作家の全思考』から一部を抜粋・再構成して、前後編に分けて紹介する。
前編:"名作落ちゲー"はどうやって誕生したのか? 「テトリス」への憧れから「ぷよぷよ」が生まれた《キーワード反転》の発想術
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タイトルは「バカの見方」でつくる

タイトルは顔だ。ぱっと最初に伝わる部分。あれこれ考えてタイトルを決めるが、目指しているのは「バカの見方」だ。

「バカ、ボケ、パーは世界をどう見ているか」という話が、荒俣宏の『図像学入門』(荒俣宏・集英社文庫)に出てくる。

大きな丸と小さな丸がある。ほとんどの人は「大きな丸と小さな丸があるな」とバカ正直に見る。これに補助線をつけたすと「遠くにある丸と近くにある丸」に変わる。ところがバカの見方では「大きい丸と小さい丸があって、その後ろに補助線が引いてあるだけ」とバカ正直に考え続けるのだ。

バカの見方(左)とボケの見方(右)。『図像学入門』(P91)の図をもとに米光が作図

補助線を引いた絵から立体的なイメージができるのは、「ダマシ」の図像をダマシとして楽しめる理知的な目が必要だ。これが「ボケの見方」である。

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