中身は「パーの見方」で、タイトルは「バカの見方」で! "ぷよぷよの父"が見つけた《売れる商品の名付け方》
タイトルを決めるときに「口の気持ちよさ」も気にしている。内容が伝わるだけでは人は口にしてくれない。理解のうえに快楽が必要、言いたくなる気持ちよさが肝心だ。
たとえばリズム。『あいうえバトル』は、最初「あいうえおバトル」というタイトルにしようとしていた。五十音を使うゲームなので「あいうえおバトル」のほうが素直だ。「お」を省略する意味はない。でも、口にしていて気持ちよさが足りない気がした。リズムがもっさりしている。
『あいうえバトル』にしてみた。ひと息で言うタイプのタイトルなら7音がいい。
「口の気持ちよさ」でタイトルが育つ
こういうときは、他の人の口も参考にする。プレイテストのときに、わざと『あいうえバトル』と「あいうえおバトル」を混在させて言ってみるのだ。で、それを聞いた他の人がなんと言うか。最初はみんな「あいうえおバトル」と言う。でも、だんだん『あいうえバトル』が増えてくる。タイトルが育っていく感じがした。
もちろん自分でも実際に何度も言ってみる。「あいうえおバトル」と『あいうえバトル』を何度も何度も口に出してみる。ちょっとした違和感、リズムの変化。それがクセになるといいなと願って、タイトルを『あいうえバトル』に決定した。
『ぷよぷよ』も、タイトルにした瞬間、「ぷよ(↓)ぷよ(↓)したほっぺ」と言うときのふつうのアクセントではなく「ぷよ(↑)ぷよ(↑)」になるのがいい。
『抜歯歯デスゲーム』というゲームをつくった。白い歯と金歯の木駒を歯ぐきカードの上に置いて抜きあうゲームだ。ほんとうなら『抜歯デスゲーム』でいい。歯を2つ重ねて「抜歯歯」にする意味はない。

でも「抜歯歯」にした瞬間、「ばっしし」ではなく「ばっしっし」とリズムが生まれる。シメシメの時の笑い声「うっしっし」にも似たリズムになる。
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