「ママ、猿よりかわいい」は自分で気づく力の芽!小島慶子が教える、子どもの言葉を宝物に変える親の視点

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私は、子どもたちとの日常会話の中でも「てにをは」が間違っていたら都度教えていました。子どもの話をよく聞いたあとで、「今の話、こういう順番にすると、もっとわかりやすいよ」と教えることもありました。揚げ足取りではなく、その場その場で言葉や文章の組み立て方を学習できるようにです。

息子たちが小学校6年と3年のときにオーストラリアに移住して、私は仕事で日本と行き来するという生活が始まりました。離れているときは、朝晩ビデオ通話をつなぎっぱなしにして、8000キロ離れていても呼べば答える関係。自然と会話が多くなり、複雑な話もしました。

そんなふうに親と話していたからか、長男も次男も、小学生から英語圏に移住して、今では第一言語が英語になったにもかかわらず、比較的日本語会話が堪能です。漢字は日本育ちの人ほど得意ではありませんが、敬語を使ったメールも書けるようになりました。

後になって「日本語から遠ざかっている環境の僕たちに、日常会話で日本語を教えてくれたことに、とても感謝している」と言われたこともあります。嬉しかったですね。

「ママ、猿よりかわいい」

子育てで大事なことは、子どもが自分で気づく機会を与えることだと思います。つまり、脳みそを使う機会を大事にするということ。親が先回りして答えを言っては、せっかくの考える機会が失われてしまいます。

次男が5歳くらいのとき、私がバナナを食べているのをじっと見て、「ママ、猿よりかわいい」と言ったことがありました。

限られた語彙と発達途上の脳を使って、「大好きなママがかわいい」という気持ちを精一杯に表現しようとした結果、出た表現です。ついバナナで猿を連想してしまい、ママ猿より可愛い!となったのでしょう。

こんなに素朴で気持ちの伝わる、珠玉の言葉はありません。一生のうちにあの時期だけ、その瞬間にしか出てこない。なんでも大人が先回りして答えを教えていたら、そのような言葉は生まれてこないでしょう。

こういうことが楽しくて、楽しくて、仕方ありません。子どもたちからどのような面白い言葉が飛び出すのか、今でも楽しみにしています。

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