「ママ、猿よりかわいい」は自分で気づく力の芽!小島慶子が教える、子どもの言葉を宝物に変える親の視点

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本書に、森林面積について推論する問題がありました。

Q.次の文を読みなさい。
1990年から2010年にかけて、世界全体では毎年平均約700万haの森林が失われた。2010年現在、地球には、全陸地の31%を占める森林がある。
上記の文に書かれたことが正しいとき、次の文に書かれたことは正しいか。「正しい」、「まちがっている」、これだけからは「判断できない」のうちから答えなさい。
1990年当時、地球の全陸地の70%以上が森林ではない部分だった。
(本書97ページより)

正解は、「まちがっている」ですが、教員の正答率は低くて「判断できない」と答えた人が多いとのこと。実は、私も「判断できない」と答えたんです(笑)。

数字に注意を払わず、「なんでも昔は今よりも多かったと考えていいのかな、今も植林して増えている分もあるし……でもさすがに追いつかないかなあ」などと余計なことを考えて、問われていることからすっかり注意が逸れてしまいました。設問に書いてある情報のみに基づいて、聞かれたことだけを考えれば良かったのですよね。

なるほど、だから私は数学が苦手だったのだなとわかりました。

数学の問題を解くときに「この公式を使いなさい」と先生に言われると、「なんでこれじゃなきゃいけないのかな?他にも方法があるかもしれないのに?」と、問題に書かれていないことでひっかかって、その先がわからなくなってしまうのです。

旅人がいつ亀に追いつくかという計算なんかも、亀なら途中で休むのではとか、旅人が転ぶかもしれないとか、余計なことに気を取られて問題に集中できません。

もしあの頃に、先生が「数学には『数学語の読み書き』というものがあって、書いてある情報だけを基に判断し、それ以外は考えなくてもいい」ということを教えてくれていたら、私はあのように悩まずに済んだかもしれません。違う言語なのだと知っていたら。

肉体は「この世界を知るための端末」

このごろ私は、身体が大事だと思っています。生成AIは、人間とほぼ同じコミュニケーションが可能だとは言われていますが、AIは今のところ生身の身体がないので病気になることも、死ぬこともありません。

一方、私たちは、気づいたら生まれていて、選んでもいない肉体を与えられ、その肉体は必ずしも思うようになりません。変化し続けて必ず死ぬ体を持っていることは、私たちの思考や言葉に影響を与えています。そして肉体は当然ながら、この世界を知るために、脳に情報を入力する端末でもあるのです。

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